こころの健康を守る基本法の制定を!

2012年2月2日 22時35分 | カテゴリー: 活動報告

日本の精神保健医療は生きた博物館??

「こころの健康政策構想会議」の缶バッジ。
「こころの健康政策構想会議」の缶バッジ。
 1月31日(火)、議会厚生委員会の6名で、都立松沢病院の伊勢田堯医師のお話を聞きました。これは、12月議会で「こころの健康を守り推進する基本法の法制化を求める意見書の提出に関する陳情」2件が継続審議になっていることに対応し、厚生委員の自主的な研修として企画されたものです。
 わが国の精神保健医療は、先進国に比べて数十年も、鎖国的に遅れている・・・。12月、陳情者の陳述を聞き、その深刻さにあらためて気づきました。一生のうち4分の1の人が経験するといわれる精神疾患。自殺者が13年連続で3万人を超えている私たちの社会。私たちが目を背けてきた現実に、きちんと向き合っていかなければなりません。

精神疾患をめぐる現状
○年間323万人が受診。10年前に比べ、1.5倍に増えている。
○13年間連続で、自殺者が3万人を超えており、イギリスの3倍。先進国で最多。
○死因の4分の1が自殺。(心不全・事故死などに分類され、表面化していない自殺者も多いと推測されています)
○医師数は、他の診療科に比較し3分の1でよいという差別的なしくみがある。
○患者を抱える家族の負担が過酷。1900年「精神病者監護法」により、精神病者は家族が責任を持って、近所迷惑にならないようにせよ、とされた文化が、払拭されずに来た。
○隔離収容型の入院(社会的措置入院)により、施設病=廃用萎縮と呼ばれる医原病に陥り、日常生活に戻れない状態を作り出してきた。治るものも治らない。
○患者を抱える家族自身が発症してしまう確率は、そうでない人と比べ、3倍と言われる。

「こころの健康を守る基本法」を求めている方たちの主な主張
●障害調整生命年DALY(disability-adjusted life years:WHOが用いる政策的重要度の指標で、失われる生命だけでなく失われる労働力も総合した数値)の考え方に基づき、こころの健康推進を国の優先施策に位置づける。
●保健師を核にした「地域精神保健チーム」を配置し、アウトリーチ型の訪問診療を行う。
●他の診療科と同水準の人員配置や医療費にし、精神科を特別扱いしない。
●再発率を下げるには(治るためには)、投薬+家族へのサポートが有効であることがイギリスの経験でわかっている。1900年以降の社会通念に縛られてきた家族の負担をなくし、患者と家族を包括的に支援するしくみを整備する。
●精神疾患は、早期発見・早期治療が有効であり、社会生活を営める可能性が高くなる。小中学生に対し、学校での精神保健教育が重要である。

□日本の精神保健医療は「生きた博物館」?という意味は・・・。
 イギリスでは、100年以上前に自殺者対策を始めており、隔離収容型(悪い言い方では刑務所型)、長期入院型の精神医療をやめようと動き出しました。そのイギリスから松沢病院を視察に来た医師が、「これは私たちが50年前にやっていた医療だ。まるで生きた博物館のようだ」と感想を言った、とのことです。
 武蔵野市では、「地域リハビリテーション」という理念を掲げています。
 それは、「すべての市民が、その年齢や状態に関わらず、住み慣れた地域で、本人の意思に基づいて安心して生活が続けられるよう、保健・医療・福祉・教育など、地域生活に関わるあらゆる組織、人が連携した継続的、体系的な支援」を行う、という考え方です。
 精神疾患に苦しむ患者さん、そして負担に悩み自らも発症してしまいがちな家族の方々。精神疾患に対する社会的な差別や誤解を解くために、「こころの健康を守る基本法」を制定して、国全体で制度を見直していくことが不可欠であると考えます。