立川断層を歩く

立川断層を歩く~脅しの防災から理解の防災へ~

 4月21日(土)、国立市矢川周辺を歩きながら「立川断層を学ぶ」会に参加しました。これは生活者ネットワークの都議会議員山内れい子の都政フォーラムとして企画されたもので、周辺の住民の方を含む約70名が真剣に耳を傾けました。

○立川断層とは?

 立川断層は都内で唯一の活断層。東京都の被害想定見直しの中で注目されています。埼玉県入間郡名栗村から東京都青梅市、立川市を経て府中市に至る約33km。おおむね北西~南東方向に延びています。

立川断層への関心は高く、周辺住民が多数参加されました。拡声器で説明しているのが講師の山崎晴雄さん(首都大学東京教授/地震地質学)。

○目で見えるものなの?

 断層という言葉を聞いて、皆さんがパッと頭に浮かぶのはどんな映像ですか? 阪神淡路大震災での野島断層でしょうか。立川断層は、野島断層のように明確に見ることはできません。地下約100mにある断層=ズレであるため、地表では非常に緩やかな坂、説明がなければ全く気付かない程度の高低差(矢川付近で2.5mぐらい)として観察されるだけです。

野島断層の真上で被災した住宅。意外にも壊滅的致死的な被害ではありません。断層そのものを極度に恐れる必要はありません。

○立川断層が動く可能性は?

 講師の山崎さんのお話によれば、「立川断層の直近の活動時期はわかっていない」「したがって再来間隔(例えば三陸では津波を伴う大地震はほぼ80年間隔)がわからない」。国の調査結果(再来間隔1~1.5万年、推定マグニチュード7.4、左横ずれ型)と東京都の結果(再来間隔5~6千年、推定マグニチュード7.0、逆断層型)も異なっています。立川断層の動き方について、専門家も確かなことが言えないのが実情です。

○断層周辺に住む方たちの不安

 今年2月、文部科学省地震調査委員会は、立川断層を含む5つの活断層で、地震発生確率が高まった可能性があると発表しました。確かに3.11以降、東日本全体が東側(太平洋プレート側)に引っ張られ、地殻が不安定になり、断層がゆるんで動きやすくなっている可能性は高い。中央道など幹線道路直下で段差=ズレが生じた場合、大型車が横転して火災が発生し、周囲に燃え広がるというシナリオは十分考えられます。しかし、周辺の皆さんが緊急に引っ越しを迫られるというようなレベルのものではありません。野島断層の経験からわかるように、段差~ズレそのもので壊滅的致死的な被害は生じない。もっと怖いのは、大火災であり、家具の転倒などで命を落とすことです。それは断層の有無にかかわらず、首都圏のどこでも細心の注意を払うべき事柄です。

手前と奥の茶畑の高さが違うのがわかりますか? 立川断層を地上から観察できる数少ないポイントですが、教えられなければ気づかないレベルの高低差です。

○東京都の被害想定

 東京都は4月、東日本大震災の経験を踏まえて被害想定の見直しを行い、「東京都地域防災計画」の修正に取り組んでいます。被害想定は、「①元禄型関東地震=海溝型でM8.2規模」「②東京湾北部地震および③多摩直下地震=首都直下型でM7.3規模」「④立川断層帯地震=活断層によるM7.4規模」の3タイプ4ケース。冬の夕方18時ごろ風速8m/秒、という条件下で算定されました。死者は②の9,700人を最高にして①5,900人、③4,700人、④2,600人など。避難者は、1日後のピーク時で100万~340万人との試算です。

概要資料4ページhttp://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/pdf/20120418gaiyou.pdf

概要版189ページhttp://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/pdf/assumption_h24outline.pdf 

○武蔵野市の被害想定

 1923年関東大震災で大きな被害がなかったことでわかるように、武蔵野台地の地盤条件はきわめて良好、揺れそのものに対して大変強い地盤です。が、住宅が密集している現在では、火災やライフラインの途絶、交通や通信の遮断など、社会システム麻痺という別の大きな課題があります。武蔵野市が5月に発表した被害想定では、死者②41人、③31人、④13人。火災延焼消失②1,000棟、③500棟、④300棟。避難者ピーク②25,000人、③31,000人、④14,000人。注目すべきは、上水道の断水率で、②35%、③56%、④24%。下水道の管きょ被害率は、②③④とも16%が想定されています。市内の大部分で、飲み水とトイレがきわめて切迫した状況になるということです。(停電率②6.7%、③6.4%、④2.8%)

 ○私たちにできること

 私たちの住む日本列島は、4つの大きなプレートがひしめき合う、地球上屈指の地震多発地域です。私たちは常に地震と向き合って暮らしていかなければなりません。日本列島の中に、安全な場所などないのです。私たちは、むやみに恐れることなく、基本的な日頃の備えを習慣づけておくことが大事だと思います。

 *お風呂の水は落とさずに、最小限ためておきましょう。(トイレの水、体を拭く、洗濯など水は絶対に必要です)

*1人1日3㍑最低3日分(=9㍑)の飲み水を確保しておきましょう。

家具の転倒防止は必須です。家族で確認しましょう。

*ガラスなどが割れてつまらないケガをしないように、食器棚や飾り棚の戸は確実に閉めておきましょう。

家族の連絡の取り方や、集合場所を確認しておきましょう。

*日頃から、ご近所で声をかけ合える間柄を培いましょう。