私たちを励ますことば~福井地裁判決と小熊英二さん

2014年5月26日 10時06分 | カテゴリー: 活動報告

今年4月に訪ねた、福島県富岡町のJR常磐線富岡駅から東の太平洋方向を見通した写真。ここに町民の暮らしがあったのです。

 先週の福井地裁の大飯原発差し止め判決を読んで、私たちの生存権、人格権をはっきりと書いた判決文に「胸が熱くなった」「涙が出た」「日本人も捨てたもんじゃないと思った」などの声が届いています。

 3.11以来、胸がつぶれるようなことばかり続いてきましたが、責任ある立場にある方が「人間の尊厳」についてしっかりと発言する、ということの重みをあらためて痛感しています。

 昨年10月に小熊英二さん(慶応大学教授)が朝日新聞論壇時評「あすを探る」に寄せた文章も、私のこころを温めてくれた文章でした。以下に一部を引用します。

「あすを探る 思想・歴史」 小熊英二  朝日新聞2014年10月31日朝刊 論壇時評

 福島第一原発事故後に、もっとも劇的に脱原発した国はどこか。そう質問すると、多くの人が「ドイツ」と答える。しかしドイツは、政府が脱原発を宣言したが、実際には多くの原発を動かしている。

 では、政府は宣言していないが、実質的に脱原発した国はどこか。いうまでもなく日本である。いま日本では、一基の原発も動いていない。

 では、この状況を作ったのは誰か。政治家がリーダーシップをとったのか。賢明な官僚が立案したのか。財界やマスコミの誘導か。アメリカの「外圧」か。いずれでもない。「原発反対の民意が強いから」だ。それ以外に何かあるというなら、ぜひ挙げてみてほしい。

 民意は脱原発を望み、政官財の抵抗を押し切り、実質的な脱原発を実現しつつある。この明白かつ平凡な事実を認識できない人々、というより認めたがらない人々がいる。政界や財界など、狭いムラ社会の住人たちだ。彼らの内輪では、異論を排除して島宇宙を作り、「脱原発など極論だ」とうそぶくことはできるだろう。しかし、強力な権力を持っていると思い込んでいる彼らさえ、それならなぜ再稼働すら進まないのかと問えば、「民意の反対が強いから」としか答えられないではないか。

 (中略)

 「日本には偉大なリーダーはいないが、民衆の実行力はすごい」というのが、高度成長期から一貫した日本評価である。政治家が脱原発を華やかに宣言したドイツとは対照的に古い既得権に足を取られた政官財の抵抗を押し切り、脱原発を実質的に実現しつつある震災後の日本は、こうした評価がよくあてはまる。あとは政治家が、この明白な趨勢を認識し、応えられるかの問題だ。