子宮頸がん予防ワクチン副反応被害に対する武蔵野市の救済策が実現

ネットカーで、市内を遊説。陽ざしもだいぶ暖かくなってきました。

 3月2日、武蔵野市議会一般質問で、「子宮頸がん予防ワクチンの副反応被害に対する救済策について」質問しました。「市独自の救済制度を検討する」「横浜市の例を参考にする」「接種者全員へのアンケート調査も実施を検討する」との答弁を得ました。市長答弁の冒頭には「当事者とご家族に対し、お見舞い申し上げます」との発言があり、被害者の方のご心痛に寄り添う対応にほっと安堵しています。

○経緯:::子宮頸がん予防ワクチン事業は、2010年から任意接種として始まり、2013年4月に定期接種(無料)となりましたが、それから間もない2013年6月「積極的勧奨の中止」という判断となって、現在に至っています。

厚労省HP http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/

○被害の状況:::このワクチンによる副反応被害の報告は、全国で2,000例を超えており、「インフルエンザワクチンなどの副反応発生率の40~100倍の高頻度」「四肢の痛み・けいれん・歩行困難などの外科の症状、生理不順など婦人科の症状、記憶障害・高次脳障害・激しい頭痛など脳神経外科の症状など、多岐にわたる体調不良」「思春期特有、気のせいなどと言われ、ワクチン被害と診断がつくまでにたらい回しにされる」など大変な苦しみを味わっておられます。

被害者連絡会HP http://shikyuukeigan.fem.jp/

○西園寺の動き:::西園寺みきこは、2013年6月議会で「接種事業はいったん立ち止まるべき」と要望しました。その直後の6月14日、厚労省が「積極的勧奨中止の判断」を出したため、市内での接種者は激減、平成22~24年度に1,800人あまりが接種した(自己負担1,200円)のに対し、25年度以降(無料となった)は48人に過ぎません。これらの接種者の方の中から、副反応被害が出ないことを祈りつつ、機会あるごとに「副反応被害の報告なし」を確認し続けてきました。

○市内でも被害者が:::しかし、大変残念なことに今年2月、市内の女性から「2012年に接種した10代の娘が子宮頸がん予防ワクチン副反応被害者となり、あちこち病院を動いた結果、ようやく診断がつきました。しかし市役所では何もできませんと言われ、線維筋痛症の資料を渡されただけ。西園寺議員のHPを見て連絡しました」とのメールをいただいたのです。全国で2,000例という発生頻度からみて、市内でも1~2例あって不思議がないと気構えしていたものの、本当に悲しい思いでした。

○救済制度が不十分:::ワクチン接種事業は、国が責任を持って行う事業であり、その被害者救済策も国が行うべきものです。任意接種に対しては「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)による医薬品副作用被害救済制度」があり、法定接種に対しては「厚労省による予防接種健康被害救済制度」がありますが、法定接種に比べて、今回の当事者のように2012年の任意の時期に接種した方に対する救済制度は非常に薄く、救済の対象になるための条件が厳しいだけでなく、認定されるまでの時間も年単位でかかるという大変不十分な状況にあります。

任意接種の場合 http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

法定接種の場合 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/

○他自治体の対応:::これらの状況を受けて、2013年3月に杉並区で、2014年6月に横浜市で、自治体独自の医療支援を開始しています。(東村山市でも検討中)

杉並区の対応はこちら。 横浜市の対応はこちら。 

○遅発性に注目すべき:::さらに、今回の被害者のケースでは、初回接種から2年、3回目接種から1年半たった2014年4月に激しい症状が現れ、車いすが必要な状態となりました。受診した市内の医療機関で「1年以上たっているんだからワクチン副反応じゃないでしょ」とあしらわれたとのことですが、西岡久寿樹医師(東京医科大 線維筋痛症学会代表)による「発症までに平均250日」という報告、また被害者連絡会による緊急調査結果では、85人中「発症までに半年以上あった」と回答した方が30人(35%)と判明しています。ワクチン接種直後には何ともなかったのに、忘れた頃に激しい症状で悩まされたという方も珍しくない。まさかワクチンが原因とは知らずに、原因不明の体調不良に悩んでいる方が、まだまだいらっしゃる可能性を示しています。

○遅すぎることはない、全数調査を:::昨日の一般質問では、接種者全員に対するアンケート調査の実施を求め、「実施に向けて検討する」との答弁を得ました。遅すぎることはない、今からでも体調不良に悩んでいる方がいないか確認し、万が一被害を疑われる方があれば、専門医療機関に紹介するという対応策が必要です。

○ワクチンそのものへの疑問:::このワクチンは、激しい副反応被害もさることながら、そもそもがん予防に有効なのか? 疑問がぬぐえません。①ウイルス感染しても必ず子宮頸がんになるわけではない。ほとんどの場合、自然に排除され、健康な女性の99%はウイルスを持っていない。②ワクチンはすべてのウイルスに対応していない。全国で年間約9,000人の患者さんがおられますが、ワクチンができている16型18型ウイルスキャリアは、患者さんの5割から7割に過ぎず、残りの3割~5割の患者さんのウイルス型には無効。(ガーダシルは6型11型も)③ワクチンの効果が不明確。このワクチンの添付文書には、「本剤の接種は定期的な子宮頚癌検診の代わりとなるものではない」「本剤の予防効果の持続期間は確立していない」と書かれている。→→→ワクチン接種しても一生子宮頸がんの不安から逃れられるわけではなく、30代40代になったら検診を受けなければならないのは全く同じ・・・。とすればがん検診を誰でもがもっと受けやすく環境整備する方が、はるかに政策として有効ではないでしょうか?       

○下流の自治体に責任を負わせるのはオカシイ:::さらに、不交付団体の武蔵野市では接種費用そのものを自前で賄わなければならないことや、副反応被害への補償義務も負わなければならないことなど、下流の自治体に負担が大きく、そもそもの制度設計が不十分であったことについても指摘しなければなりません。

○医療現場への周知が必要:::2013年以降、子宮頸がん予防ワクチンの被害についてはメディアで大きく取り上げられました。今回の被害者のお母さまも地元の総合病院で「ワクチン副反応ではないか?歩行困難のようすが似ている」「専門機関への紹介状を書いてほしい」と再三訴えたそうですが、「1年以上たっているから違う」などと取り合ってもらえなかったそうです。医療現場ではまだまだ周知されていないのが現状。厚労省では全国70病院を協力医療機関として公表し、副反応被害の集計を行う、としていますが、かかりつけ医や接種を行った地元医療機関、市役所などでまず「副反応被害かもしれない?」と疑って専門医療機関につなぐことをしなければ、被害者は原因不明の痛みで苦しみ続けることになってしまいます。

全国の協力医療機関 http://apital.asahi.com/article/news/2015030300002.html

○○○今回は被害者のお母さまが勇気を持って、西園寺のHPに相談を寄せてくださったことがきっかけで市の対応が動きました。その勇気に心から感謝したいと思います。そして原因不明の痛みで悩んでおられる方がいらしたら、まず一歩を踏み出して、身近な方にご相談されることをお薦めしたいと思います。