レジ袋無料化実験で何がわかった?~環境経済学の視点で貴重な実験?

2015年5月29日 15時13分 | カテゴリー: 活動報告

2010年に締結された「レジ袋削減に関する協定」調印事業者を示すステッカー。

マイバッグ持参率が高い武蔵野市

 武蔵野市民は環境意識が高い? ごみ焼却場を自前で作らなければならなくなった(自区内処理)ことがきっかけで、ごみ減量の全市的な活動が40年近く続いている武蔵野市。マイバッグ持参&ノーレジ袋運動も20年あまりの積み重ねがあります。

 2010年「武蔵野市におけるレジ袋削減に関する協定」が、市・ごみ減量協議会・事業者12社の三者間で締結されました。(協定書概要は下記資料1) 徐々に「マイバッグ持参が当たり前」となり、主だった店舗で持参率5~8割を維持しています。(2014年3月、13店舗のデータは下記資料2) 

イトーヨーカ堂の実験

 「イトーヨーカ堂武蔵境店で、レジ袋無料化になったわよ! がんばってキャンペーンやったのにどうして?? 後戻りさせないでってお店の人に言ってきたわよ」と声が寄せられたのは、5月中旬でした。「どういうこと? 調べなくちゃ!」の矢先、「実験は5月だけで終了ですって。6月からまた2円有料になるって。私たちの声が効いたのかな?」と情報がありました。

武蔵境店は「撮影はご遠慮ください」とのことでしたので、他店の写真を使いました。

 武蔵境店担当者Iさん、本社CSR担当Sさんにヒアリングした結果、以下のようなことがわかりました。

〇今回の実験の直接のきっかけは、お客様からの声。仕事帰りの買い物にはレジ袋が必要だ、という要望だった。(西園寺注:この要望は今に始まったことではありませんね) 社内では売り場配置など常に実験を行い、顧客サービスの改善に努めている。

〇都内43店舗のうち、「食品館」「プライス」を除く29店舗で5月1日から実験を行った。現場従業員とお客様とのやり取りで、いろいろな声があったのは事実。(西園寺注:急に対応の変更を指示されたレジ係の方々は、混乱されたことでしょう)

〇29店舗での実験結果はさまざまだったが、今後もお客様との対話を重視していく基本姿勢は変わらない。

  ヒアリングで推察できたのは「なぜ今さら無料化するのか?」の声が事業者サイドの予想をはるかに上回っていたらしい、ということ。市民の環境意識は事業者サイドが考えるよりずっと高まっていた、と言えるのではないでしょうか。

日本を代表する小売り業者として、貴重なデータを共有すべき

 武蔵境店では、持参率はほぼ7割をキープしていました。実験開始でガクッと下がったが次週次々週に回復、という推移を示したそうです。一旦「無料ならもらっておこうか?」と考えたものの、「どうせ捨てちゃうんだからもったいないよね」と気を取り直した?消費者の心理が窺えます。

 興味深いのは、このような推移が29店舗すべてで共通ではないはず、という点です。自治体と市民の取り組みの強弱、店舗の立地条件などにより、持参率の推移がどう違っていたのか? 環境経済学・環境政策・消費者心理の観点から大変貴重なデータとなっているはずです。

 イトーヨーカ堂さんには、学会などしかるべき場でデータを公表し、環境政策の進展のために貢献していただきたい。日本を代表する小売り業者として、商品やサービスだけでなく、「環境意識」も売っていく姿勢を明確にしていただきたいと思います。

毎年10月は「マイバッグキャンペーン期間」。マイバッグの配布やマイバッグづくり体験を、協力事業者さん店頭で実施しています。

マイバッグキャンペーンの歩み

 写真は、2014年10月にイトーヨーカ堂武蔵境店の店頭で実施したマイバッグキャンペーンのもようです。70人以上の方が、マイバッグづくり体験に参加しました。武蔵境店は、ペットボトルや白色トレイ、牛乳パックの店頭回収など、武蔵野市の取り組みに協力いただいています。CSRに積極的に取り組む姿勢も地域で受け入れられています。 

 

武蔵野市が作成したプチエコキャンペーンフラッグ。

事業者、自治体、市民の役割

 社会全体で、資源の無駄遣いを減らし、環境負荷を抑制していくためには、行政だけでも事業者だけでも、市民だけでもダメ。三者が共に歩んでいく基本姿勢を貫いていかなければ実績をあげることはできません。

 今回、事業者の実験に対し、まず市民から声があがって事業者さんに再考を促しました。三者協定の当事者である武蔵野市も、積極的に関心を持って対話を進めていくべきです。

 

資料1 「武蔵野市におけるレジ袋削減に関する協定」概要

 1.定書締結日:平成22年11月1日

 2.締結事業者:市内レジ袋使用事業者のうち12社。

 ㈱アトレ、㈱イトーヨーカ堂、㈱エコス、㈱紀ノ國屋、㈱グルメシティ関東、㈱京王ストア、サミット株式会社、生活協同組合コープとうきょう、㈱東急ストア、㈱ビッグ・エー、㈱ライフコーポレーション、(合同会社西友は後に離脱)

 3.協定書内容

 レジ袋使用事業者と市ごみ減量協議会および武蔵野市は、「環境負荷の少ない省エネルギー・省資源型の持続可能な都市」を目指し、レジ袋の使用削減とマイバッグの持参促進など生活の中での市民の環境意識を向上させる取り組みを協働で進める。 

 〇レジ袋使用事業者は、・マイバッグの持参促進と削減に積極的に取り組む。 ・取り組みの詳細は計画書に示す。 ・レジ袋の削減、簡易包装の推進を通して、環境に配慮した活動に取り組む。

 〇ごみ減量協議会は、・市民団体や市と市民への啓発を行う。 ・レジ袋使用事業者のレジ袋削減の取り組みなどの環境保全活動を支援する。

 〇武蔵野市は、・一般廃棄物処理基本計画に基づき、市民への啓発を行う。 ・レジ袋使用事業者のレジ袋削減の取り組みなどの環境保全活動を支援する。

 協定書の有効期限は、平成26年3月31日までとする。 (西園寺注:2014年4月、「計画書の提出廃止」「持参率の報告を年2回から1回に」と事業者さんに緩和した形で更新されました) 

資料2 2014年3月現在の、13店舗のレジ袋辞退率(→は、インセンティブの変更を示す)

①    ポイント付与 26%  ②    ポイント付与 36%  ③    ポイント付与 44%  ④    ポイント付与 47%  ⑤    ポイント付与→有料化→2円引き 46%  ⑥    スタンプ 20%  ⑦    スタンプ→2円引き 42%  ⑧    スタンプ→2円引き 51%  ⑨    2円引き 58%  ⑩    2円引き→有料化 68%  ⑪    2円引き→有料化 76%  ⑫    有料化 87%  ⑬    有料化 95%