女性は「国家に貢献するために」産むのではありません

2015年11月19日 15時28分 | カテゴリー: 活動報告

今年9月29日、菅官房長官の発言が物議を醸しました。

 今年9月、福山雅治さんと吹石一恵さんの結婚報道を受けた菅官房長官の発言が物議を醸しました。

 「あの、この結婚を機に、やはりママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』とかっていう形で国家に貢献してくれればいいなと思っています。たくさん産んでください」

 女性の目線から、また国家と国民の関係がどうあるべきか?の観点から、この発言は二重に間違っていると感じました。

 明治以降の富国強兵政策の中で「産めよ増やせよ」奨励されてきた歴史。その大事な息子たちを兵士として戦場に送り出した歴史。「兵士は消耗品。もっともっと産め」と言われてきた歴史。戦後は一転して、高等教育を受けさせるために少なく産むことが奨励されました。男女ともに避妊教育することが必要なのに、男性の無理解により望まない妊娠をし中絶の道を選ぶ女性は、若年世代だけでなく30~40代にもいまだに多い。厚労省「衛生行政報告の9~10ページ」を参照。

 国家は、そこに住む人々の生命と幸福を守るためにあります。国のために個人が「貢献」するのではありません。官房長官の発言は、そもそも国民主権の基本理念から外れています。「国家に貢献」という言葉には、「国家=為政者」に対し「国民=臣民」が貢物をささげるという意味合いがあるのではないでしょうか。

 武蔵野市議会においても、以下のような類似の発言があり、有志の議員13人で声明を出しました。議員の発言には大きな責任が伴い、有権者が注目しています。西園寺自身も常に「この発言、この言葉づかいが、人を傷つけていないか?」「想像力に欠けるふるまいをしていないか?」と自らをチェックしながら日常の活動を行っています。

 武蔵野・生活者ネットワークでは、12月6日から3回連続の学習会を企画しました。女性も男性も自分の身体をよく知り、産む産まないを含めた「自己決定権」に基づく生き方を実現していきたい。私たちの社会においてまだまだ不足している「性と生殖に関する健康と権利=リプロダクティブヘルス&ライツ」の理念を身に着けていきたいと思います。

武蔵野市議会全員協議会でのきくち議員の発言に関する声明 

 去る10月30日に行われた市議会全員協議会における、きくち太郎議員の発言は、一般的な企業、組織等においては許されないものであり、議会への市民の信頼を損ね、とりわけ多くの女性の心情を傷つけたことを、同じ議会人として深く憂慮しています。

 国の男女共同参画施策の基本でもある「リプロダクティブヘルス/ライツ=性と生殖に関する権利」を踏まえ、下記の問題点を指摘し、本人の反省と今後の発言への配慮、誠意ある対応を求めます。

 また、武蔵野市議会として、あらためて人権に関する認識を深める研修、研鑽を積み、市民の負託に恥じない議会活動を行うことをここに表明します。 

2015年11月17日

武蔵野市議会議員  深田貴美子 山本あつし しばみのる 内山さとこ 笹岡ゆうこ 藪原 太郎 蔵野恵美子 橋本しげき 本間まさよ 山本ひとみ 斉藤シンイチ 西園寺みきこ 川名 ゆうじ (議席番号順) 

(問題点)

1、(きくち議員)「…3人、4人、お子さんをつくっていただかなければ、1人、ゼロという家庭もいっぱいあるわけございまして」

※子どもを、いつごろ、何人、産む、産まない、の選択は、一人ひとりの女性、それぞれのカップルの健康、生き方、考え方による自己決定権の問題であることは、リプロダクティブヘルス/ライツの基本です。さらには、子どもを望んでも授からないカップルの苦しみ、心情を顧みない不用意極まりない発言である上に、LGBTの方々への人権侵害を助長しかねません。 

2、(きくち議員)「必ずどんどん縮小していってしまうということを考えると、いかに日本、そして自治体が子育て支援をしっかりしていくか、これがもう、まちの国の将来にかかってくるだろう…」

※戦中の「産めよ増やせよ」という、国家のために、出産、子育てを奨励するかのような誤解を与えます。9月末に現政権の官房長官が、女性の出産を国家への貢献に短絡的に結び付ける発言をし、2007年の柳沢厚生労働大臣の「産む機械発言」と同根ではないかと指摘されたばかりです。 

 なお、武蔵野市議会では、昨年9月「地方議会における人権侵害及び差別発言を許さないことに関する決議」を可決し、さらに今年2月9日の全員協議会での発言が人権への配慮を欠いたものであるとして、同月24日本会議で、「きくち議員に猛省を求める決議」を全会一致で可決しています。 

男性にも女性にも、聞いていただきたい内容です。