責任逃れを許さない! 6月30日、東電幹部の刑事責任を問う裁判初公判

2017年5月26日 06時11分 | カテゴリー: 活動報告

2回にわたる検察審査会により、強制起訴にたどり着いたのが一昨年7月でした。それから2年待たされました。

ようやく、ようやく! 6月30日。待ちに待った裁判が始まります。

民事でなく、刑事裁判です。東電幹部3名(勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長)が、巨大な津波を予測できたか?が争点となります。

東日本大震災と東電福島第一原発メルトダウンによる放射能汚染被害から6年。当時、「想定外」という言葉がさかんに使われました。「誰にも予想できなかった、未曾有の天災なんだからしかたない」と、本来最も責任を負うべき人たちが真っ先に印象操作に走ったことは、忘れることのできない記憶です。

サイエンスライター添田孝文さんの著書「原発と大津波~警告を葬った人々」(岩波新書2014年)によれば…。

2002年には既に、貞観地震級巨大地震の可能性と10m以上の津波襲来が確実視されていました。

2006年1月には、保安院の担当者が東電に「早急に想定超え津波への対策の検討を」と要望した内部文書が残っています。

2008年には福島第一原発施設への浸水範囲シミュレーションを実施。

2009年株主総会に「巨大津波に関する新知見」が盛り込まれたにもかかわらず、数百億円と試算された津波対策費用を先送りし、「あまりかかわると首になるよ」とのやり取りがあったことも明らかになっています。

震災直前の2011年3月7日には、東電が保安院に対し「15.7m津波のシミュレーション結果」を報告。小林審査官が「もっと早く対策工事をやらないとだめだ。このままだと対外的に説明を求められる状況になってしまう」と警告しましたが、その4日後、想定通りの巨大津波により全電源停止となったのはご存知の通りです。

わかっていた人たちにはわかっていた。知っていた人は完全に知っていたのです。当時の報道を思い出すにつけ、何をしらっぱくれていたのか責任逃れにやっきになっていたのか、と憤りは増すばかりです。

2012年、東電幹部の責任を問う刑事告訴が1万4千人を超える告訴人によって提起され、(福島原発告訴団福島原発刑事訴訟支援団)2回にわたる検察審査会の議決を経て、2015年7月ようやく「強制起訴=起訴すべきもの」とされました。公判前整理手続きの第1回協議が開かれたのが今年3月。それまで1年8か月待たされました。

そして、ようやく、ようやく…!! 6月30日10時から東京地裁104号法廷は、初公判をひらくことを発表しました。想定外なんて大嘘、お金がかかりすぎるから先送りにした、情報を隠した、最も責任を負うべき人たちが責任逃れをしたということが1日も早く司法の場で明らかにされるべきです。

責任逃れの構造は、まだまだ続いている。

責任逃れと言えば、昨年末、倍にふくらんだ原発事故処理費用もそうです。炉内で530シーベルトを測定し、ロボットが2時間で壊れるという現実を見せつけられた現在、経産省がいう21.5兆円は今後一体どこまで増えるのか、見当もつきません。1体で数億円かかるロボットをいつまで投入し続けるのか? 結局は、チェルノブイリ同様、現場で封じ込める以外に方法はない。「デブリ取り出し」「別の場所で保管」を前提とした現在の工程表を見直すべきです。

いずれにしろ増え続ける事故処理費用…。そのツケは結局、電気小売り料金と託送料金に回ってきます。その額は、世帯あたり年間580円から1500円程度と試算されていますが、総括原価方式の下、国会の議論も法改正も不要のまま、自覚もなく一般消費者が負担させられる構造は、原発事故前と変わっていない。昨年春から電力小売がすべて自由化となり、再生可能エネルギーに力を入れている新電力が増えたにもかかわらず、その新電力事業者にも、一切責任のないはずの原発事故処理費用の負担がのしかかるという理不尽としか言えない状況に強く強く憤りを感じます。

 

巨大津波は天災であったけれども、史上最大の放射能汚染事故となった東電福島第一原発事故は紛れもなく想定内の人災であった。責任逃れの構造を変えるために、刑事告訴で責任の所在を明らかにすることは、3.11を経験した私たちの社会が必ず乗り越えなければならない大きな課題です。