渋谷区LGBT施策とパートナーシップ制度を学んできました

2018年12月21日 15時05分 | カテゴリー: 活動報告

渋谷区のLGBTダイバーシティ施策のシンボル「レインボー・アイリス」です。

12月20日(木)市議会総務委員会の議員6名で、渋谷区を視察しました。テーマは「LGBT施策」「同性パートナーシップ制度」です。お話を聞いたのは、GAP JAPANから転職3年目、担当課長として大活躍されている永田さん。(永田課長さんが転職された経緯や渋谷区で活動する思いなどは、2017年1月のハフィントンポスト記事をご参照ください)

渋谷区は2015年、全国初となる「パートナーシップ証明書制度」を導入。既に31組が制度を利用しています。

1番大事なのは、「自分も含めた性の多様性を尊重し合う」こと

「マイノリティ=少数を認める」ではない。SO(Sexual Orientation=性的指向)+GI(Gender Identity=性自認)全体を「ひとつの傘の下で、インクルーシブに語る時代なのです」と永田さん。LGBTだけではない。マイノリティだけではない。

「パートナーシップ制度ができたといっても、『渋谷区が住みやすくなったね』とポジティブに感じている当事者はほとんどいません。少しずつ少しずつまち全体を変えていく、そのために働いている」と。ここが最重要なポイントです。

渋谷区制度の特徴は、「公正証書」を要件としていること

2015年以来、国内9自治体で導入され、合計315組が利用している「パートナーシップ証明書制度」は、要綱に基づき宣誓書を発行する方式をとっている自治体が多いですが、その中で唯一渋谷区は「公正証書」を要件とし、「区長の公印が入った証明書を発行する」という行政上固めの制度となっています。公正証書を作成するためにカップルで5~6万円かかります。これは、宣誓書方式の他自治体や、異性婚の婚姻届けに費用がかからないことと比べ、デメリットと言えますが、老後の財産相続を真剣に考える立場からは信頼できる制度とも言えます。実際、2017年11月に公表された「渋谷区パートナーシップ証明実態調査報告書」によれば、他自治体よりも40代以降の取得者が多い傾向がある、とのことで、今後武蔵野市での制度導入の参考になりました。 (なお、札幌市大阪市福岡市の3自治体は、同性カップルだけでなく異性カップルも対象としています)

「公正証書」にも2段階設けている

当事者の方々の最大の心配ごとは「住まい」と「病院」。一方が倒れたとき、収入が途絶えたとき、異性婚であれば、(事実婚も含め)法律上の権利はかなり守られていますが、同性婚ではそうではない。法律上の権利を明確にしておくことが安心につながります。渋谷区の制度では、「任意後見契約に係る公正証書」を要件とする(上記のように費用がかかるが、財産形成後の40代以降のカップルには有意義)ケースと、より負担の軽い「合意契約に係る公正証書」のみのケースの2段階を設け、若いカップルが後者を利用できるように配慮しています。

学校現場での理解はまだまだ進んでいない

区内小中学校へLGBT当事者を派遣し、教職員の方々に研修を受けていただく事業をやっているが、「正直に言ってまだまだ理解が進んでいるとは言えない」 研修後のアンケートで「今日、この研修で初めてLGBT当事者と会った」と答える先生が多い。(本当は、過去の教え子の中にも、たくさんいたはずなのに!!)

武蔵野市では、2017年春制定された「武蔵野市男女平等の推進に関する条例」に基づき、「特に学校教育の場での啓発と理解促進に努める」としており、ハンドブック作成や教職員の先生方へのリーフレット配布をしています。LGBTへの理解は徐々に進んでいるとはいえ、さらなる取り組みの充実が必要です。

LGBTアライ(支援者理解者)企業を増やす

渋谷区のもうひとつの特徴は、都内の有名企業との連携がわかりやすく進んでいるということです。永田課長さんのお話によれば「同性カップル対象の住宅ローンをいち早く始めたみずほ銀行や、同性カップルを含めた家族割に取り組んだNTTや航空会社マイレージ事業、マンション販売の不動産業など、高額取引や接客重視の企業が、率先してLGBTアライとして方針を明らかにしてきたのが第1波」。

現在は、第2波として「従業員の多い企業。例えば食品会社などの工場で男女別の制服を支給してきたが、その区別を見直して、性別にとらわれないユニフォームに変える取り組みが始まっている。更衣室・休憩室の見直しも進んでいる」とのこと。男性だから女性だから、性的マイノリティだから、という枠組みを取り払い、より普遍的な方向に進もうとしている熱意が感じられました。

トイレもインクルーシブに!

「誰でもトイレ」を置けば済むってもんではない。新しい視点と気づきを与えられました。車いすの方でも使える「誰でもトイレ」はもはや当たり前になっていますが、それだけでいいのか? 異性ヘルパーさんが高齢者や障がいのある方の排泄介助するケースが増えている中、「性別にとらわれないトイレのあり方・設置のし方」を考えるべきではないか? 渋谷区では2年がかりで部署横断プロジェクト「渋谷区トイレ整備基本方針」を策定準備中。トイレメーカーや有識者からのヒアリングをまとめている、とのこと。2020年オリンピックパラリンピックのその先、次の時代を見通した「新たなトイレのあり方」を、私たちも考えていかなければなりません。

今年5月6日、渋谷区で開催された国内最大のLGBTイベント「東京レインボープライド」。街中が虹色のフラッグやグッズであふれていました。