有機リン系農薬の後に開発された神経毒性の農薬の総称で、「ニコチン」に似た構造を持つ窒素化合物です。
6月9日(土)「ねねね、ネオニコチノイドってなあに?」アドボカシーカフェに参加し、田中優さん(未来住宅)と雁屋哲さん(美味しんぼ原作者)のお話を伺いました。
同じ日の夜は、吉祥寺「キチム」でアメリカの料理家アリス・ウォータースさんに学ぶ会に参加。アリスさんは、カリフォルニア州バークレーで「シェ・パニーズ」という地産地消レストランを主宰。アメリカの料理界に革命を起こし、「Edible Schoolyard=食べられる校庭」という食育プログラムで高く評価されている女性です。
1.ミツバチの大量死
今世紀に入った頃から、世界的にミツバチの大量死・失踪(巣に戻れずに死んでしまう)が報告され、一説では北半球のハチの4分の1が消えたとも言われている。
2.ネオニコはミツバチの神経を撹乱する
ネオニコチノイド(ネオニコと略)は、昆虫の神経毒であり、蜜を集めに巣から飛び立ったミツバチの方向感覚を麻痺させる。社会的昆虫であるミツバチは1匹で生きることはできない。
3.身近な場所で使われている
殺虫剤として多用されているネオニコは、田畑・果樹園などの農地はもちろん、森林(松枯れ防止)やゴルフ場などにも散布されている。ホームセンターで家庭向けにアリやコバエ対策やペットのノミ取りで販売されているものもほとんどがネオニコ系農薬。住宅の断熱材に浸み込ませておくという使い方も…。
4.東京都でも大量に使用
一方、成分表示には「ネオニコ系」とは書かれていない。一般の市民にはわからない。また、ネオニコの1種アセタミプリドを国内で最も多く使っている(180トンあまり)のは、東京都である。
5.人間にも悪影響「予防原則で!」
ネオニコは「ヒトには安全」が謳い文句ですが、本当にそうでしょうか。フランスでは2006年、予防原則(有害であることを科学的な証拠で示すには長い時間がかかるため、「疑わしきは罰する」で先手を打って禁止する考え方)を適用してネオニコによるトウモロコシなどの種子処理を禁止しました。
日本の基準値は欧米の3〜500倍。面積あたり農薬使用量も世界一、という農薬天国です。ある生産者の方は、「日本の農家はきまじめなんだなあ。農協から言われた通りきっちり使おうとするクセがある」とおっしゃっていました。
アリス・ウォータースさん
オバマ大統領夫人ミシェルさんの要請で、ホワイトハウスにキッチンガーデン(家庭菜園)をプロデュースしたことでも注目されている、アメリカの「オーガニック料理の第一人者」。アリスさんの理念に共感された塚本サイコさん高橋一也さんたちが「学ぶ会」を立ち上げ、著書の発行を控えてイベントを開催したのです。
会場となった「キチム」(吉祥寺本町2-14-7B1)は、オーガニック野菜やコミュニティガーデンに関心を持つ方々で一杯になりました。
アリスさんの主張は、家庭菜園になじみ、野菜を多様な調理法で味わってきた日本人には理解しやすいものです。都会の中で土に触れることが減り、野菜が「商品」になってしまっている現在、再確認していくべき理念だと思いました。
賢い選択を!!
私たちが安心して健康に暮らし続けるために、「食べ物」をどうまかなうか?は最重要課題です。よい食べ物を作ってくださる生産者さんが、安心して暮らせる制度が整っていなければなりません。
さらには、よい食べ物が育つ「土と水、生態系全体」が守られていなければならないのです。
流通のためにまっすぐなキュウリ。水っぽいトマト。すぐにグズグズに腐ってしまうニンジン、虫の気配もないきれいすぎるキャベツ…。
安いからと言って、そんな野菜を買い続けてはならない。カチカチの土で農薬を振りかけて効率だけを求めて作った野菜は、私たちの心と体を蝕んでしまいます。
まずは農薬の使い方や土づくりを公表している「信頼できる業者」を探しましょう。私たち自身が賢い選択をすることが、心ある生産者さんを支えることにつながるのです。