10月28日、三鷹サポートステーションを視察しました

伺った事務所は、スタジオジブリの向かい側でした。

 みたか若者サポートステーション(NPO文化学習共同ネットワーク)に伺って、若者支援の現状を学んできました。(生活者ネットの議員13人)
 みたか若者サポートステーションは、地元の塾として、地域の親子と向き合ってきた長い歴史を持っています。もともと不登校の子供たちの居場所、フリースペースとして取り組みを進めてきました。

説明してくださった高橋さん広瀬さんも元塾生です。「若者を変える」というより「回りの環境を変える」そのために商店街など外に出ていってつながりを広げることが最大の仕事、と考えているとのお話でした。

 対象年齢は15~39歳。「ちょっと背中を押せば就職できる人」を要件としていますが、実情は「自分が何に悩んでいるのかわからず、目的も希望も持てないでいる」若者の支援です。隣接して、パン屋さん「風のすみか」を併設。

http://www.npobunka.net/ss/

  最も人気なのは、とっつきやすい「勉強会」。教わる側になったり、教える側になったり、ピリピリして怖かった女子高時代の遅れを、少しでも取り戻したい、ここなら緊張しないで学べる。アルバイト先が体育会系、根性論ばかりで反論できなかったけど、ここで学ぶ意欲がわいてきた。など、現在の新自由主義・市場原理主義・自己責任論の風潮の中で、すべり落ちてしまってなかなかリベンジできないでいる切実な若者たちの姿が垣間見えました。

 

〇秋田県藤里町の取り組み

 28日の夜、NHKクローズアップ現代で、秋田県藤里町社会福祉協議会による「引きこもり支援策による町おこし」が取り上げられていました。人口3,800人の町の18~55歳(働く世代)の何と8.74%にあたる113人が「引きこもり状態にあった」という衝撃の調査結果です。「初めは見なかったことにしたいぐらいだった」と菊地孝子事務局長。が、「楽しいカラオケ」よりも「働く場がほしい」と訴えてきたある青年の声で根本的に考えを改めた、というのです。

 武蔵野市の18~55歳人口は、約76,000人。仮にその5%が引きこもり状態にあるとすると、3,800人もの人が、その人らしい活躍の場を持てずにいるという計算になります。これはとても多い人数です。

〇担当するのはどこ?

 武蔵野市は、障害者福祉課が担当課となって、引きこもりサポート事業「それいゆ」を、NPO文化学習共同ネットワークに委託しており、ケース会議や家族セミナーを定期的に開催しています。http://www.city.musashino.lg.jp/soudan_kurashi/soudanichiran/014835.html

 一方、同様に委託している三鷹市は「児童青少年課」、西東京市は「生活福祉課(生活保護担当)」の管轄、というように、実は「引きこもり若者支援」を行政の仕事の中でどう位置付けるべきか?は定まっていません。東京都の「若者社会参加応援事業」の担当部署は、「青少年・治安対策本部 青少年課」。「治安対策」とは一体どういうことでしょう? 

〇若者は「治安対策」?

 都の担当部署の名称に表れているように、今まで若者は「オトナに抵抗しない時は、保護の対象」として。「オトナに抵抗する時は、矯正の対象」として、扱われてきたのではないでしょうか?
 独立した意志を持つ「主権者」として、扱って来なかったのではないでしょうか?

 武蔵野市では今年2月に吉祥寺で発生した少年2人による殺人事件が大きな衝撃となりました。義務教育を終えたあとの青少年と、どうつながっていくか、明確な道筋がなかったことにあらためて気づいたのです。検討委員会が設置されて検討が進んでいますが、青少年を保護する、監視して悪さをさせない、という単純な視点で対策を考えてはいけないと思います。子どもたちがもともと持っている「判断する力」を伸ばす教育、主体性を尊重し、一人ひとりが考え、行動できる主権者教育の視点が不可欠です。

パン屋さんで働く若者が従業員としてでなく、主体的に働くために「業務日誌」をつけ始めたら「顔つきが変わった」。これこそ「人が活きる」「その人らしく輝く」ことだと思います。