29年ぶりに議員報酬を引き上げました~その2生活者ネットと議員報酬

タイトルが「給与明細」、社員番号980064となっていますが、これは便宜上の表記です。市議会議員は、市役所に「雇われている」社員ではありません。「給与」でなく「報酬」です。
生活者ネットワークの議員は、議員報酬の約半分を寄付しています
今年4月の議員報酬の額と、手取り額をご覧ください。「その1」で書いたように、この4月から月額561,000円となりました。そこから所得税と住民税、さらに会派お茶代を天引きした残り約45万円を口座で受け取ります。
このうち、西園寺個人が受け取るのは月額20万円。残りの約25万円は、政治団体「武蔵野・生活者ネットワーク」に寄付することを、契約で定めています。これを原資として、地域政党が、市民のためのさまざまな活動を展開するために活用しているのです。具体的には「事務所維持費」「学習会・セミナー・市政報告会・ヒアリングや視察などの企画運営」「活動報告レポート発行」などです。
生活者ネットワークのやり方の特長
生活者ネットワークは、議員を「市民の声を議会に届ける代理人」と位置付けています。「選挙に出たい人を応援する」のではなく、「自分たちの声を届けるために、代弁者を議会に送る」と考えているため、立候補する際の選挙費用を個人負担させません。4年ごとの改選に備え積み立てるのも、上記約25万円の使い道の一つです。
また、月額56.1万円に年2回のボーナスを加えると、年収は約1,000万円となります。実際の手取りは「月20万円×12か月+ボーナス2回40万円=年280万円」のみですので、社会保険料の負担が重い。そのため月額20万円と別に国民健康保険料などを、上記25万円の中から払うことに定めています。同時に、任期終了翌年大幅に収入ダウンすることに備えた対応や、年収300万円以下の方が受けられるはずの各種減免分も補填するよう改善してきています。
以上をお読みいただけると、「地域政党」と名乗る昨今の政党とは大きな違いがあることをご理解いただけると思います。生活者ネットワークには「強いリーダー」はいません。「この人の顔で票を集めます」という選挙の戦い方はあり得ません。選挙政策は、1年近くかけてじっくりと議論して組み立てています。瞬間の風に頼る選挙は行いません。実現性実効性が疑われるような耳障りのいいだけの政策で戦うことはあり得ません。自治体ごとの実情と市民の声に基づき、地に足のついた政策提案を大きな柱として、選挙を行っています。
そして、西園寺と生活者ネットワーク会員の関係は「議員と支援者」ではなく、「まちづくりを担う主権者として対等な関係」です。政治団体生活者ネットワークの重要な案件は、総会で議決を経て決定し、議員が勝手に決めることはできない。以上のお金の流れは、東京都選挙管理委員会に提出義務のある政治団体として毎年きっちりと報告・公表しています。
生活者ネットワークの課題
以上、生活者ネットワークの特長を述べましたが、課題はあります。
最大の課題は、手取り月額20万円では十分でない、という点です。現在「月額20万円でもなんとかやっていける」という議員がいる反面、とてもとても足りませんという方もいらっしゃる。家賃や扶養負担の状況によって経済状況が異なるのは当然のことです。
議員手取り額引き上げについては、議論をしてきており、ある市の生活者ネットワークでは25万円に引き上げることを総会で決めた例もあります。しかし、生活者ネットワークは、「特定の企業・団体からの寄付をもらわない」ことを前提にしていますので、まとまった額の寄付はゼロ。政治団体としての活動の原資は、議員からの寄付(武蔵野市では上記の約25万円)と個人からのカンパのみ。議員手取りを増やすということは、政治団体としての活動を狭めることになりかねず、生活者ネットワーク全体として大変難しい課題となっています。

総務省の統計に基づく厚労省HP資料より。https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000118655.pdf
生活者ネットワークが設立された約40年前には、専業主婦世帯と共働き世帯は11:6でした。1990~2000年頃にそれが逆転し始め、2024年現在で5:13に至っています。生活者ネットワークは候補者を女性に限定していませんが、「40年前には、企業・団体・組織に所属しないできない女性にとって、唯一の政治参加・社会参加のルート」とみなされて高い評価を受けていた状況が一変。女性の政治参加・社会参加が大きく前進した現在、生活者ネットワークが唯一の選択肢でなくなったことは皮肉にも感じられます。
(生活者ネットワークは女性限定ではなく、過去に男性議員がいたこともありますが、現時点では地方議員全員女性です)
政策を持たない地域政党なんてあり得ない!
議員報酬の件から少し離れますが…。
「政策を持たない地域政党」が、6月の都議会選挙で大量に候補者を立てると報道されています。「政策がない地域政党」とは一体何なのでしょうか? 私たちにとっては、全くあり得ない考え方です。それは一人の政治家?のファンクラブ、人気取り、大衆迎合主義のポピュリズムとしか思えません。
政治家は芸能人やアイドルではありません。国民有権者が主権者として、任期の間だけ「期間限定で」権限を付託する存在である議員・首長を選ぶのが政治家。国民有権者と政治の関係がおかしな方向に進んでしまい、本来あるべき姿からかけ離れていくことを大変心配しています。私たちは、本当に国民のために働く政治家を見極め、選び、チェックし続けなければなりません。