このまま飲み続けていいのか? PFAS武蔵野市民血液検査、西園寺まとめ~その1 47人の血中濃度

1.4PFAS合計値は、47人平均で19.27±9.74ng/㎖でした
このレポートは、2025年7~8月に行われた血液検査の結果を、採血協力医療機関担当医師から提供されたデータをもとに、2023年9月21日原田浩二京都大学准教授発表「多摩地域住民の血漿中PFAS濃度調査の追加調査結果のまとめ」採血結果・記者会見 | PFAS多摩の内容にならう形で、西園寺がまとめ直しました。https://tamapfas.wixsite.com/info/sampling
検査の対象者など概要はこのページの最後に書いてあります。
2.19ngって高いの?低いの?~日本国内の基準値はない
19ngと言われただけでは、高いのか低いのかわかりません。日本国内には基準となる値はなく、国が広範な調査を行った実績も乏しい。(下記4の119人調査のみ)
3.米国アカデミーガイダンスの値は、20ng/㎖ 47人中19人が20超え 武蔵野市民も汚染されている
米国の値を目安に今回の結果をみてみると、47人中20ngを超えた方は19人。40.4%。4割の方が「要注意・要精検」に該当します。永遠の化学物質PFASは、非常に分解が遅い。武蔵野市民の体内でのPFAS汚染が確実に進んでいることがわかります。
4.過去調査と比較 けっして低くありません。単純比較はむずかしいけれど
上記のように、日本国内ではPFASに関する広範な人体汚染の調査が行われていません。今回の結果と比較できそうなデータを示します。(ただし、測定方法などが必ずしも同じではないため、分析と考察は、学識の方に委ねなければならないことが残念です。またサンプル数が少ないので、軽率な判断はできません)
① 多摩地域791人の調査 2023年9月京都大学原田浩二准教授発表。4PFAS 平均値 22.0ng/㎖
② 全国119人の調査 2021年環境省。4PFAS 8.7ng/㎖(PFAS直鎖体のみであることに注意)
③ 今回の武蔵野市民47人の調査。4PFAS 平均値 19.27ng/㎖
5.武蔵野市の水道水を飲み続けてよいのか? 国の公式な判断を待ってはいられないと考えます
大変残念なことですが、小さいお子さん、腎臓にリスクのある方、不安を感じる方は、これ以上体内へのPFAS蓄積を防ぐ対策を西園寺みきこはお薦めしたいと考えます。理由は、「PFASは分解が遅く、飲み続けることで体内への蓄積が進んでしまうことが予想・危惧される」「PFASと健康被害の因果関係を明確にするには長い時間がかかるため、国の公式な判断を待っていられない」の2点です。
6.今から対策をして間に合うのか? 間に合います 動いてください
環境省HPにあるQ&Aによれば、「欧州食品安全機関(EFSA)では、新たな摂取がない場合に人の体内の濃度が半分になるまでの時間(半減期)は PFOS で約 3.1~7.4 年、PFOA で約 2.3~8.5 年と見積もられている」とあります。新たな摂取を防ぐことができれば、便や尿を通じて徐々に排泄されていくということです。この記事をお読みくださった方々が、それぞれの身体の状況をもとに、できるだけ早く対策を検討してくださることを心から願っております。浄水器の選び方は、次の記事に書きます。
7.47人検査結果からみえてくること
今回の血液検査では、「年齢・居住歴・浄水器の使用・性別」を聞いていますので、その相関をみてみます。
(1)年齢との関係がありそう

ゆるやかに右上がりのグラフとなっています。が、年齢と無関係に非常に高い値を示した方が数名おられました。もしかするとこの方々は、水道水以外のルートでPFASを摂取してしまっているのかもしれません。医師による個別の聞き取りと助言が必須です。
(2)居住歴との関係はある

年齢よりむしろ、居住歴=水道水を飲み続けてきたことに相関関係があると推察できます。居住歴が短いのに値が高い方には、個別に転入前の居住地を聞き取りする必要があります。
(3) 浄水器の利用・性別 明確な差はみられなかった
グラフ①②で、赤い●で示したのが、「浄水器利用している」方。22人の平均18.90ng/㎖。
青い●で示したのが「水道水そのまま」の方、25人の平均19.61ng/㎖。と差は見られませんでした。浄水器をどのように使っているか、詳細を知る必要がありそうです。
同様に、●の右上にぼかしがあるのが男性、13人平均21.82ng/㎖。
ぼかしがないのが女性、34人平均18.30ng/㎖。明確な差はみられませんでした。
(4) 2回目の方~前回と比べて著しく上昇しているとはいえない

47人の中には、2022年多摩地域調査791人に参加した方が10人いました。(西園寺含む)その方々の、前回と今回の値をみてみると、前回より著しく上昇した方はおられませんでした。かと言って、体外への排出が進んで値が低下しているともいえませんでした。
8.西園寺の値 22ng→15ng 微減
居住歴25年、67歳の西園寺自身の値は、前回22ng/㎖、今回15ng/㎖。わずかに下がっていました。
西園寺自宅でのふだんの水道水の使い方は、「お茶やコーヒーを飲むときだけ、蛇口ビルトイン浄水器の水を使う。それ以外、みそ汁・煮物・ゆでものなどは水道水そのままを使う」「蛇口ビルトイン浄水器のフィルターは半年に一度交換している」です。使用しているフィルターは1本1,000円程度です。
生活者ネット事務所では、昨年からBRITA浄水ポットを購入。(約3,000円)事務所での飲み水利用頻度から考えると、1個約800円のフィルターを半年に1度交換すれば十分と考えて利用しています。
9.検査の対象者など
【1】2025年7月武蔵野市民47人血液中PFAS濃度調査結果まとめ
1.調査参加者の概要
2025年7~8月に市内採血協力医療機関において、武蔵野市民有志47名が採血に参加し、PFOS、PFOAはじめ7種類のPFASを測定した。
- 年齢:25~92歳。平均69.7歳。
- 性別:女性34人。男性13人。
- 配水系と居住地:居住地は不明。なお、武蔵野市水道は、第一浄水場から吉祥寺北町・東町・南町・本町・御殿山・中町の6町へ。第二浄水場からそれ以外の八幡町・緑町・西久保・関前・桜堤・境・境南町の7町に。2系統で配水している。
- 居住歴:1~84年。平均6年。内訳:10年以下3人。10~40年19人。40年以上25人。
- 浄水器使用or水購入の有無:あり22人。なし25人。
- 2回目の方:47人のうち10人が、2022~23年にも測定を行っていた。男女各5人。
2.測定項目
PFOS、PFOA、PFHxS、PFNA ここまでの4項目を4PFAS合計値とする。
PFDA、PFUnA、N-MeFOSAAの3項目については、比較できる調査が乏しいためこのレポートでは分析を行わない。
3.測定結果
(1) 4PFAS合計値 47人の平均値は、19.27±9.74ng/㎖。最大45.3。最小7.1。
(2) 米国アカデミーガイダンスの値、20ng/㎖を超えた方。19人。47人中40.4%。
(3) 性別による差 女性34人平均 18.30ng/㎖。 男性13人平均21.82ng/㎖。
明確な差はみられなかった。
(4) 年齢との相関 グラフ①参照 相関がみられる。詳細な分析が必要である。
(5) 居住歴との相関 グラフ②参照 相関がみられる。居住歴が短いわりに、PFAS値が高い方では、水以外の汚染ルート可能性を調べる必要がある。
(6) 浄水器使用or水購入ありの方とない方の差:
ありの方22人平均 18.90ng/㎖ 最大45.3 最小7.1
ない方25人平均 19.61ng/㎖ 最大43.7 最小8.1
大変気になる点だが、明確な差はみられなかった。使用ありの方の、使い方の詳細を知る必要がある。
(7) 2回目の方 グラフ③参照。10人中7人が、前回より値が低かった。7人中3人は浄水器使用or水購入。4人は使用なし。の方だった。前回より明確に高くなった方はいなかった。
4.過去の調査との比較
(1)2023年9月21日原田浩二京都大学准教授発表データ 多摩地域791人
(武蔵野市民23人含む)
(2)2021年環境省調査 全国119人 (3)今回の武蔵野市民47人調査
今回の結果(3)は、前回の結果(1)より平均がやや低め。サンプル数が少ないため考察は難しい。
5.考察とまとめ
(1)47人中19人(約4割)の方で、20ng/㎖を超えた。武蔵野市でも汚染は確実に進んでいる。
(2)47人中38人で、PFOSがPFOAを上回っている。汚染源との関連が示唆される。
(3)年齢・居住歴との相関がある。詳細な分析が必要である。年齢・居住歴が短いわりにPFAS値が高い方では、水以外の汚染ルート可能性を調べる必要がある。
(4)浄水器使用or水購入との相関は明確にみられなかった。使用ありの方の使い方の詳細を知る必要がある。
(5)2回目採血だった10人の方で、前回より明確に高くなった方はいなかった。
(6)過去の調査より平均がやや低めであったが、サンプル数が少ないため考察は難しい。
次の記事では、浄水器の選び方を書きます。

