次に、多摩川衛生組合(国立・府中・狛江・稲城の4市が使用)の無断有害ごみ焼却実験の件。(事故②。詳細は、この焼却実験に気づいた、府中・生活者ネットワーク前田弘子市議
のHP http://maeda.seikatsusha.net/back/item/all/1288516200.htmlを参照してください)
この2つの事故への危機感から開催された「東京の有害ごみ問題を考える会」に参加しました。10月25日、杉並区産業商工会館にて。主催は自治労東京都本部。
①の事故
医療系廃棄物の混入を疑い、収集運搬事業者と医療機関にヒアリングを行なったが、原因の特定に到らなかったという公式発表でした。自動停止に至った原因は、血圧計約4台分200gの水銀という見解と、5g程度でも停止する、という見解とがありました。
このやりとりの中で初めて知ったことは、「排ガス中の水銀に関しては、法律による排出基準がない」
環境省が持つ水銀のデータはかなりずさんで、大気と土壌への水銀汚染は事実上野放し、(基調講演の明治学院大 熊本一規教授の発言)という指摘には驚くしかありません。9月に、水俣展で有機水銀の恐ろしさを学んだのですが、50年以上たった今でも、日本の法律体系は逃げ道だらけなのです。
ドイツやデンマークのように、逃げ道をふさぐ法体系の整備や、重金属の使用量に応じた課税制度で元を断つしくみ、デポジット制導入で回収率100%を目指す、などの対策を取ることが重要だと思いました。
②の事故
多摩川衛生組合で6月に塩酸もれの事故があり、府中・生活者ネットワーク市議が原因調査中に、無断焼却実験が判明しました。その内容は「昨年12月の4日間、乾電池3トン蛍光管3.3トンを燃やす実験を行なっていた」「稲城以外の構成市である国立・府中・狛江には全く知らせていなかった」の2点。焼却灰を持ち込んでいた日の出町議会から抗議を受ける事態となりました。
有害ごみの危険性を無視したあまりにも軽率な実験(担当者は、「今の乾電池は水銀が含まれていないので、安全だということを確認するための実験です」と悪びれずに説明したそうです)の背景には、処理コスト約700万円を削減する意図があったのではないか?という見方が大勢を占めていました。
生活者ネットワークは、日ごろから調査やヒアリングに基づいて活動を組み立てています。今回のことも、日常的な活動の延長上で、備考欄の記載を見逃さなかったため、明らかになった事故でした。やっぱりチェックは大事だと思います。
いったん大気中に排出されれば、細かい粒子になって土壌に降り積もり、いずれは地下水へ。分解して消え去ることがない水銀などの重金属は、いわゆる「適正処理困難物」です。水俣病の教訓を生かして法体系を整備することの重要性を痛感しました。