東京の林業再生について

あって当たり前だったはずの第一次産業が危機に瀕しています

武蔵野市のセカンドスクールで林業体験に取り組んでいることを報告しました。
武蔵野市のセカンドスクールで林業体験に取り組んでいることを報告しました。
 1月26日(木)、第16回市民と行政の協議会「東京の林業再生について」に参加しました。この協議会は、都議会生活者ネットワーク・みらいが定期的に開催しているもので、今回は東京都の担当課6名と市民団体6名が質疑・意見交換を行い、政策提言につなげようとする試みです。

 「山の現状について」「山を知ってもらう取り組みについて」「林業の再生について」「多摩産材の利用について」「山の保全について」と盛りだくさんな意見交換がありましたが、
・70〜80年先を見通す林業の特性を考え、単年度請負の公的入札制度でなく、地元が長期的に請け負うしくみを! と求める市民団体に対し、「都の委託は仕様書に基づいて行うので、業者が変わってもぶれることはない」。
・神奈川県の水源保全税や、滋賀県の琵琶湖森林づくり税などの例にならい、東京都でも森林保全の目的税を導入し、財源確保してはどうか? との提案に対し、「一般財源で実施する」。
など、議論がすれちがっている場面が目立ちました。

 一方、
・GPSを活用して、境界の明確化や山の戸籍づくりを進めよう。京都府の例にならい「森林カルテ」を作って計画的に森林管理を進めよう。
消費者が積極的に多摩産材を選択できるように、住宅だけでなく、ゲタ箱・カラーボックス・マンション内装など、見えるところでの多摩産材利用を工夫しよう。
・工務店自身が、山を知らない、木材を知らない時代になっている。PRを進めよう。
・市区町村の取り組みを推進するための、説明会を東京都が開催する。
など、市民団体の提案に前向きの回答が得られた点もありました。

 3.11以降、私たちが気づかされたことの1つは、「今まで、あって当たり前と思い込んできたものの危うさ」ではなかったでしょうか。ふんだんに使っていた電気、安心して飲んでいた水、空気、食べ物・・・。
 日本文化の根本であり、酸素を作ってくれる山林・森林・緑地もあって当たり前。誰がどんな風に守っているのか、現状がどうなっているのか、私たちはあまりにも無関心だったのではないでしょうか。
 今回の協議会で、「もう間に合わないかもしれないけど」という言葉が何度も出ました。多くの木材協同組合が解散、森をよく知る人が激減しているのです。「ゆっくり議論している時間はない」「20年前から同じ議論をしている」との発言もありました。

 武蔵野市では、セカンドスクールでの林業体験、二俣尾や奥多摩の市民の森事業、自然体験館など、森に親しむ事業を行っています。また多摩産材間伐材を使った落ち葉プールやガードレールなど、市民の目にふれる取り組みも行っています。武蔵野プレイスで立ち上がった「木のぬくもりプロジェクト」グループでは、武蔵野に縁のある木材を使ってみんなで楽しもうと企画が進んでいます。

 都会生活を送っている私たちこそが、森林を守る取り組みを積極的に進めていかなければなりません。