「子どもの権利」の視点が見えない!

2012.10.19 文教委員会で相生市の子育て支援策を視察しました。

また子どもの悲しい自殺のニュースが入ってきました。大阪市の桜宮高校バスケ部主将が、顧問教師の体罰に耐えられずに、12月23日自宅で自殺したとのことです。

背景には、体育科という場(運動部で成績をあげるために入学した生徒と、試合での実績を前提に指導する教師、成績をあげるのが当然と期待する周囲の環境など)があったように見えます。

高校のスポーツ指導は、あくまでも「人間教育」の方法であるべきです。勝つことだけでなく、負けること、悔しい思いをすることなどを学ぶ場であるべきです。「叩いて奮起させたかった」と顧問教師は述べているそうですが、それは「指導」を放棄していたのはないか、と考えずにいられません。「体罰が常態化していた」との指摘もあります。教育委員会と大阪市の謙虚な事実解明への努力が求められます。

しかし、私はそれよりももっと驚いたことがあります。

それは、周囲の教員が体罰を知っていながら「実績のある顧問だったので、口をはさめなかった」と述べていること。また、自殺した生徒が「主将である自分だけが殴られる」と不満を持っていたのに、それを誰にも言えなかったこと。

何と傷ましいことでしょうか。インターハイに何度も出るカリスマ教師。「実績を出す」ことが至上命題となっていたのでしょう。その強いプレッシャーの中で、「殴られるのはイヤ」という人間として当たり前の言葉を口に出せずに、死を選んでしまうとは・・・。

相手が、親でも教師でも、医者でも弁護士でも、どんなエライ人が相手であっても「NO!」と言える。そんな「個人の尊厳」を守る教育がもっともっと必要です。「エライ人に従う」「逆らわない」子どもではなく、「イヤです」ときっぱり言える子どもを育てる教育に、変えましょう。

この事件に関する報道で「子どもの権利」の視点で書かれた記事が見当たらないことにも強く怒りを覚えています。私たちの国のマスメディアには、もっともっと要望を出していかなければなりません。