高次脳機能障がいに関してヒアリングを行いました
10月10日、「高次脳機能障がい」に関するヒアリングを行いました。
○高次脳機能障がいとは
脳血管障がい(いわゆる脳卒中)や、交通事故による脳外傷後に、身体障がいが軽度もしくはほとんど見られないにもかかわらず、脳の機能に障がいが生じている場合を指します。外見でわからず、記憶障がい・注意障がい・遂行機能障がい・社会的行動障がいなどの認知障がいとして現れるため、「隠れた障がい」と言われています。東京都の推計を武蔵野市の人口に当てはめると、800人もいらっしゃることになりますが、今回のヒアリングにより、市役所が把握しているのは33人(65歳未満で、市役所に相談・通所など実績があった方)に過ぎないことがわかりました。
○自覚しにくい、理解されにくい、説明しにくい「隠れた障がい」
高次脳機能障がいは、外見ではわからず、入院中も気づきにくい。職場復帰してみて初めて「以前普通にできていたことができなくなった、何かおかしい?」と気づくケースがほとんどです。認知症や精神疾患と誤解されるケースも多く、正しい情報の周知が最優先です。
○平成21年「ゆいっと」開設
武蔵野市は、障害者福祉センター内に専門相談室「ゆいっと」を平成21年開設し、専門相談員(言語聴覚士)1名を配置して、年間600件余りの相談に対応しています。(平成24年度、実人数は43人) 同時に、医療・リハビリ・福祉の現場スタッフの方対象の講演会(100人規模)を毎年開催して、周知に努めているとのことです。
○関係機関連絡会の運営方法が有意義
「関係機関連絡会」を年2回、さらにこの連絡会を有意義にするための運営委員会も年3~4回開催していることがヒアリングで明らかになりました。当事者の方々と日常的に接するスタッフの方々が、共に運営に当たりながら、「患者さんのために何が必要か?」を自然に考えるしくみができて有効に機能していることがわかり、大変心強く感じました。
○課題は? 医療と福祉の連携をもっと進めること
担当者によれば「症状の出方が一様でなくさまざまなので、当事者・家族間で共有しにくい」「支援が長引くため、関係機関が多くなり、連携が取りにくい」「医療・福祉・行政で、言葉の定義が違っているため、それだけで連携が進まなくなってしまうことがある」とのことでした。
「医療と福祉の連携」が進まない。医療であれ、リハビリであれ、介護であれ、よりスムーズに適切なケアを受けたいというのは全ての人の願いでしょう。ところが、高次脳機能障がいに限らず、「医療と福祉の連携が進まない…」はあちこちで耳にする言葉です。
どうしたら連携が進むのでしょう? ひとつの答えは、武蔵野市で取り組みを進めている「共に考えるための運営委員会方式」だと思います。司会を輪番にしたり、参加者全員が必ず発言する進行にする、など工夫によって、会議を生き生きと有意義なものに変えることが可能になります。
○当事者フリーサロンへ
何かおかしい?と感じたら、障害者福祉センター内「ゆいっと」に連絡してみてください。週1回開催している当事者フリーサロンに参加してみる方法もあります。また、市内には高次脳機能障がいの方を含め、精神障がい者の雇用の場である「浩仁堂」もあります。http://www.kojindo.jp/