憎しみの連鎖を広げてはならない!
再びフランスパリの罪のない市民を狙った無差別同時多発テロが起こってしまいました。このようなテロを決して許すことはできません。犠牲になられた方々の冥福を心からお祈りします。
私たちが考えなければいけないこと
1つは、「テロを生む土壌は?原因は何か?」ということです。テロは自然災害とは違います。自爆テロのような絶望的な方法でしか意思表示ができない人々がいること。その方法しか選択できない人々がいること。生まれたときからテロリストであったはずはない彼らが、なぜ無惨で冷酷な殺戮に走ったのか?
宗教のせいだという人がいます。キリスト教世界とイスラム教世界の対立なのだ、と。私は違うと思います。以前瀬谷ルミ子さんのお話を聞き、「あ、そうだ。騙されてはいけない」と気づきました。人種のるつぼニューヨークで、宗教の違う人々が争わずに一緒に生活している。結婚するカップルもいる。イスラム教の人がすべてテロリストではない。経済的な貧困と格差、内戦で多くの人が犠牲になっても国際社会から見捨てられてきたこと。アメリカはまるで古くなった武器の処分のためのようにほぼ10年ごとに中東で戦争を行ってきました。過去に支援したイラク・フセイン大統領を、いつの間にか悪魔の化身のように言いなして処刑したことも記憶に新しい。大国に翻弄されてきたのです。
テロの温床は貧困です。私たち日本人は、アメリカの手先になってはいけない。中東で日本は「戦争をしない国」として敵ではないとみなされてきました。その長年培った信頼をみすみす手放してはいけない。アメリカの仲間=敵になってはいけない、とあらためて痛感します。
2つには、フランスだけで大量殺戮が起こっているわけではない、ということです。報道されずに無視されているけれど、罪のない一般市民が数十人の単位で空爆の犠牲になっている事件は、中東で頻発しています。空爆を行っているのはアメリカをはじめとする多国籍軍。パリ市民の命を悼むのならば、シリアやガザ地区で空爆の犠牲になった人々のことも報道すべきだし、悼む姿勢を持たなければなりません。非戦闘員である市民を標的にする行動に対して、どの国の市民であろうときっぱりとNOというべきです。
3つは、軍事産業・武器商人・警備会社を喜ばせてはいけない、ということです。今回の事件を受けて「テロリストを許すな」「報復攻撃をせよ」「警備を増強せよ」という声が高まることでしょう。しかし報復を繰り返して一体何が生まれるのでしょうか? 憎しみの連鎖は新たな犠牲者と新たな憎しみを呼ぶだけです。際限がありません。犠牲者は常に、罪のない弱い立場にある人。武装していない人・子ども・障がい者・高齢者、そして女性です。戦争は、一部の人や会社のみがもうかる非人道的なビジネスであることも忘れてはいけません。日本は、憲法9条の理念を活かし、「不戦の国」として国際社会の中で発言し行動していくべきです。