高江の何が問題なのか??

map7高江周辺地図

11月4日(金)「それってどうなの? 沖縄の基地の話」を読む会を開きました。

辺野古新基地建設に関する「トンデモな言論」にしっかりと反論するために、小冊子「それってどうなの?沖縄の基地の話。」を項目ごとに読み合わせしました。

高江ヘリパッドについては、そもそも「高江ってどこにあるの?」から知りたいのが都民の本音。

西園寺が作成した当日配布資料を転記しますので、ぜひお読みください。1995年の少女暴行事件に端を発する「SACO合意」というものが根底にある。それをまず知っておかなくてはなりません。

1.高江はどこにある?

沖縄県国頭郡東村は、本島北部の国頭半島東側に位置する。那覇市から約90km。高速道路利用で2~2.5時間。人口約1,900人。村立小中学校が3校。高江は6つある集落の1つで人口約140人。

東村HPより。

東村HPより。

2.高江ヘリパッドの5W

 どこで? 東村と国頭村の6か所。合計3.6ha。

なにを? 直径45mのヘリコプター着陸帯(=ヘリパッド)と外周15mの無障害物帯を移設する「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)」。

だれが? 沖縄防衛局 (沖縄防衛局長 井上一徳)。全国に8ある防衛省地方局の1つ。

いつ?  2015年2月に2か所建設。2016年7月11日(参議院選挙投票日翌日)に残る4か所の工事が始まったことを受けて、以前から続いていた座り込みなどの反対運動が強まった。

 なぜ? 

移設事業の目的…なぜヘリパッド移設するのか?

SACO最終報告を踏まえ、北部訓練場の過半(約3,987ha)を返還するため、返還される区域に所在するヘリコプター着陸帯を同訓練場の残余部分に移設するとともに、進入路等支援施設を整備することが目的。

反対運動の主張…なぜ高江が問題なのか?

北部訓練場の「返還」条件は、高江に新たに6ヵ所のヘリパッドを建設すること。しかしそれは、決して地元負担の軽減ではない。米軍は、老朽化した施設を手放し、使い勝手のよい、機能的な新基地を手に入れる。この計画の実現は、住民の生活が危険と隣り合わせになり、豊かな自然が破壊されることを意味している。

3.基本のキ

(1)SACO(日米特別行動委員会)最終報告:1995年少女暴行事件を受け、日米が米軍基地の整理・縮小を検討し、1996年12月に合意。11施設、計約5,000haの返還を盛り込んだが、実現したのは面積にして8%にとどまっている。

(2)SACO最終報告の進捗状況:①返還済は楚辺通信所など5か所。②引き続き取り組んでいるのは北部訓練場。③米軍再編事案で返還するはずの施設は普天間飛行場など5か所。

北部訓練場の進捗状況(抜粋):

・1999年、7か所のヘリコプター着陸帯を移設等の後、過半を返還とSACO合意。

・2006年、1999年の合意の変更(ヘリコプター着陸帯を7か所から6か所に、造成規模を直径75mから45mに変更)をSACO合意。

・2008年1月、ヘリコプター着陸帯(残り3か所)の建設の実施をSACO合意。

・2014年7月、N-4地区のヘリコプター着陸帯(2か所)が完成。

・2015年1月、N-4地区のヘリコプター着陸帯(2か所)を提供。

http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/okinawa/saco_final/sintyoku.html 防衛省HPより。

(3)北部訓練場:東村と国頭村にまたがる、総面積7,800haに及ぶ、国内最大の米軍専用施設。1957年アメリカに強制接収、使用開始。正式名称は「ジャングル戦闘訓練センター」。対ゲリラ訓練、歩兵演習、ヘリコプター演習など。敷地内ヘリパッドでの軍用ヘリコプター飛行訓練は昼夜を問わず、近隣住民は騒音や墜落の危険に常にさらされている。設置当時と異なり、現在は米軍にとってジャングル戦闘の必要性はほぼない。

ベトナム戦当時、訓練場近隣の住民をベトナム人に扮させ、ベトナム風集落をつくり、殺戮演習が展開された。枯葉剤散布もあった(米兵が枯葉剤を撒き、あとで近隣住民に草を処分させた)と、元米兵の証言がある。 映画「標的の村」(三上智恵監督、2012年)参照。

 4.沖縄県議会の意見書 2016年7月21日

米軍北部訓練場ヘリパッド建設に関する意見書  賛成26反対15(自)退席6(公・維)

米軍北部訓練場においては、東村高江の集落を囲むようにヘリパッドの建設が計画され強行されているが、ヘリパッドの建設は当該地域の自然環境や住民生活へ悪影響を及ぼすものであり、オスプレイの欠陥・危険性に対する県民の不安が増している。このような中、沖縄防衛局は、東村高江のN4地区の2カ所のヘリパッドを完成させ、平成27年2月に米軍に先行提供し、米軍によるオスプレイの訓練が急増した。オスプレイは昼夜を問わず民間地域の上空を低空飛行し、住民は身体的にも精神的にも限界を超えた騒音・低周波を浴び続け、学校を欠席する児童もいる。また、沖縄防衛局は、ヘリパッド建設工事再開に向け、去る7月11日早朝から県警の機動隊を投入してヘリパッド建設工事に反対する住民らを排除し、工事関係資機材の基地内への搬入を強行するとともに、全国から警察官の大量動員を始めており、このような政府の姿勢は許されるものではない。県議会はこれまでも欠陥機オスプレイの配備撤回及び海兵隊の撤退を求める意見書を可決してきたところであり、海兵隊の訓練施設であるヘリパッド(オスプレイヘリパッド)建設は到底容認できるものではない。 よって、本県議会は、県民の生命、安全及び生活環境を守る立場から、政府が米軍北部訓練場ヘリパッド建設を強行に進めることに対し厳重に抗議するとともに、建設を直ちに中止するよう強く要請する。内閣総理大臣・外務大臣・防衛大臣・沖縄及び北方対策担当大臣 宛

5.住民の声

 琉球新報7月25日記事より。「賛成なんて1人もいない」「みんな本当は反対だ」

「地元に住む人のほとんどは反対運動に参加していないじゃないか」―。米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する座り込みが連日続いている中、村外の人からそんな声が漏れ伝わる。

高江に住む浦崎直秀さん(68)はその批判に対し語気を強めた。「賛成している人なんて今も一人もいない」。高江区は1999年と2006年、住民総会で移設反対を決議している。だが、伊集盛久村長が移設を容認しヘリパッド工事は進められ2カ所が完成している。浦崎さん自身、座り込みに行くことはほとんどない。「運動に行きたいという気持ちはあるけど畑をしていたら一日中そこにはいられないさ」

人口約140人の小さな高江集落のほとんどは、農業で生計を立てている。農家にとって1日でも作業を休むと農作物に影響が出る。生活が懸かっているため、ヘリパッドに反対だが声を上げ切れない人は多い。

農業を営む高江州義勝さん(73)は「オスプレイもうるさいからヘリパッドには反対している。でも食べていくことが最優先。座り込みをしてどうやって飯が食えますか」と、自分に言い聞かせるように言った。

高江区の仲嶺久美子区長(66)は普段から区民のことを「家族みたいな存在」だと話す。報道陣の取材が相次ぎ疲れが顔に出ていた。「警備も物々しくて交通量も増えて、住民の暮らしに支障を来さないかを心配している」と懸念を示した。

「小さな集落だからこそ、つながりを大切にしている。言いたいことを言わない人は多い」と喜友名崇さん(45)は話す。

60代の男性は「息子が村役場に就職し反対の声を上げづらくなった人もいる」と小さな声で言った。

国が工事を強行する中、政治によって高江区が二分しているかのように言われることもある。浦崎さんは同じ東村民に「高江は大変だね」と人ごとのように言われたことがある。「そうじゃない。全国的な問題で、同じ村民として考えてほしい。村が反対って言ってくれたら、みんな頑張ると思う。区は二分なんてしていない。みんな本当は反対だ」。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設は、翁長雄志知事が反対し国に意見を述べてきた。現在、工事は止まっている。小さな集落に生きる人々は「声を上げても変わらない」という思いと「全国的な輪が広がって流れが変わってほしい」。そんな思いの中で揺れている。(阪口彩子)

【参考】東村長あいさつ
  東村は、本島北部「山原」(やんばる)と呼ばれ、東海岸に位置する自然豊かな村で、3月に開催される「つつじ祭り」、県下一の「福地ダム」、日本一の生産量を誇るパインアップルで知られており、「花と水とパインの村」をキャッチフレーズに村づくりを進めています。また、最近では豊かな自然資源を活用した「エコツーリズム」、本格的な沖釣りや、沖縄の伝統的な漁法が体験できる「ブルーツーリズム」、村ならではの農業や暮らしを体験できる「グリーンツーリズム」などの体験型観光の推進にも力を入れています。「観光地」、「リゾート」とは違う魅力が味わえるここ東村に、是非一度遊びに来て下さい。

   東村長 伊集 盛久  (東村HPより)

 6.東京都民の監査請求

朝日新聞10月17日記事 「ヘリパッド移設 都民が監査請求 機動隊の派遣中止求め」

沖縄県東村高江の周辺で進む米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設工事について、都民314人が17日、都監査委員住民監査請求を出した。警視庁機動隊員の派遣中止を都公安委員会に勧告するよう求めている。都税で隊員の俸給を支払うことは公金の不当支出にあたるなどと指摘している。

請求したのは、アニメ映画監督の高畑勲さんや東京大学大学院小森陽一教授ら。請求書によると、「(機動隊員らは)法的な根拠を示さず、車両検問や工事に反対する住民らのテントなどを強制排除している」と主張している。

7.武蔵野市議会 ①2016年9月30日

住民の安心とやんばるの森の自然環境の保全を求める意見書 賛成15反対10(自志無)

沖縄本島北部国頭村・東村に広がる森林地帯は、「やんばるの森」と呼ばれ、絶滅のおそれのあるヤンバルクイナやノグチゲラなど世界でも希少な動植物が生息する生物多様性の宝庫です。この9月に「やんばる国立公園」に指定され、ユネスコ自然遺産に登録を目指す「奄美・琉球」対象地域でもあります。一方、やんばるの森には 7,800 ヘクタールにも及ぶ米軍北部訓練場が存在し、軍事目的(海兵隊ジャングル訓練センター)に使用されてきました。この北部訓練場を一部返還するかわりに、新たにヘリパッド(オスプレイ着陸帯)が建設されることになり、地元の東村高江住民は、生活の不安、自然環境の破壊を招くとして、長年にわたり建設工事に反対してきました。 ところが、今年7月の参議院選挙直後に、沖縄防衛局は工事に反対する住民の排除に乗り出しました。このため、沖縄県議会では7月21 日に、北部訓練場ヘリパッド建設に反対する意見書を政府に提出しましたが、その翌日、警視庁を初めとする全国から動員された機動隊員により排除が強行されました。その後も、生活道路である県道の封鎖、立木の伐採など、警察権力の逸脱行為が続き、現地では抗議の声が上がっています。さらに、9月13 日には、自衛隊ヘリコプターが工事用資機材を運搬する という異例の事態となっています。 東村高江は、住民 150人ほどの小さな集落です。計画では、この集落を取り囲むように6つの新たなヘリパッドが建設されることになっており、一部返還されたとしても実質的な機能強化ではないかと言われています。すでに建設された2つのヘリパッドを使用したオスプレイの飛行により、住民の生活は脅かされ、夜間の騒音などに耐えかねた一部の世帯は避難しています。琉球新報が行ったアンケート調査では、住民の80%が建設に反対しており、賛成はゼロでした(8月3日付)。 日本国憲法に保障された基本的人権の尊重、国民主権に照らして、政府は、選挙結果、県議会意見書、住民調査でも明らかな、米軍基地・ヘリパッド建設反対の民意を尊重するべきです。市民とともに自治のまちづくりを実践してきた武蔵野市議会として、対話を通じて解決の道を探るべきと考えます。よって、武蔵野市議会は、東村高江のヘリパッド建設について、地元自治体、住民の意見を尊重し、生活の安心と自然環境の保全を図るよう求めます。内閣総理大臣・総 務大臣・防衛大臣・外務大臣・沖縄及び北方対策担当大臣 宛

②2015年12月17日

「地方自治の尊重を政府に求める意見書」の撤回要請に関する請願 賛成7(自)反対18

③2015年9月17日

地方自治の尊重を政府に求める意見書 賛成18反対7(自)