教育長1か月で辞任 小美濃市長の認識の甘さと判断ミス~その1何があったのか
4月に就任したばかりの武蔵野市教育長E氏(68歳)が、5月10日付けで辞任しました。E氏は、早稲田大学教職大学院の客員教授を務めており、武蔵野市教育アドバイザーとして活躍されていました。
辞任の理由
昨年春ごろ、H市でE氏が元教え子のAさんに対し不適切な言動をした。AさんがE氏の当時の所属先である早稲田大学にハラスメント被害申し立てした結果、大学は今年3月15日に「譴責処分」を決定し、大学HPに「教員に対する措置」として匿名で公表した。これが事実です。(HP記事は現在は見ることができません)
Eさんは教育長にふさわしい方だったか
E氏は、今年年明けには「次の教育長に」と打診を受けていました。早稲田大学は既にAさんからの被害申し立てを受理しており、E氏は昨年10月、大学ハラスメント防止委員会で事情説明していました。つまり、自分がハラスメント加害者として俎上に上がっていることを十分理解していた。にもかかわらず、E氏は武蔵野市に「ハラスメント案件を抱えていること」を伝えていませんでした。E氏がなぜ自己申告しなかったのか? 教育長という立場の重さを自覚していたか? 残念ながら大変甘いものだった、と言わざるを得ません。
一連の情報を、市はいつ知ったか
市が第一報を得たのは、3月22日(金)朝でした。かつて武蔵野市の教育行政にかかわっていた方から、知らせがあった。小美濃市長は早速、その日の午後、E氏を呼び出し、直接本人から事情説明を聞いた。ここまでは正しい対処であったと思います。
3月22日、小美濃市長は、どう判断したか
「パワハラではないと感じた」「大きな話にしたくなかった、正直な話」「正義感で助けに行ったと判断した」(議会内代表者会議、代表者会議懇談会での発言) 結果として、3月26日(火)本会議に上程していた教育長人事議案を、保留取り下げにすることなく、議長に相談することもなく、放置しました。私は、この日の小美濃市長の判断が大きな分かれ目であった。一旦立ち止まる判断こそ必要だったのだ、と考えます。
その結果どうなったか
小美濃市長は、3月23日24日(土日)と落合議長と出張しており、相談するチャンスは十分あったのにそれもしませんでした。25日(月)の議会運営委員会で副市長が議案説明した際にも、議会に情報共有しませんでした。26日(火)の本会議最終日で、E教育長選任の人事議案は全会一致で可決されました。
議会が知ったのはいつか
翌27日(水)、被害者Aさん側からの情報を得た市議が市に問い合わせ、議会内で情報共有したことから、問題が発覚。議会内では「『かくしごとのない市政』を公約に掲げた小美濃市長なのに、ハラスメント情報を隠すとは!」「議員出身の小美濃市長は、就任時に『議会とよく相談しながら市政を進めていく』と決意を述べていたはず」「知っていたら賛成しなかったのに」と会派を問わず、憤りの声があがりました。