教育長1か月で辞任 小美濃市長の認識の甘さと判断ミス~その3 減額はもっと厳しく

5月9日臨時会で、立憲民主ネット会派を代表して、市長給料削減条例に賛成の討論を行いました。

今回のできごとから私たちは何を学ぶべきでしょうか。ポイントは4点あると考えます。

1.ハラスメントへの認識が甘かった

小美濃市長は当初「パワハラと感じなかった」「正義感だと判断した」と述べていました。その後「受けた側が苦痛ならばハラスメントだ」と一般論としての認識を述べるようになりましたが、事態を軽くみていたことは間違いありません。リーダーである市長の認識が甘いと、多くの方に誤ったメッセージを伝えることになってしまいます。

2.一方的な情報で安易に判断しない、双方から意見を聞く

ハラスメントに限らず、トラブルで双方の見解が食い違うことはよくあることです。E氏がAさんに対して取った言動は、E氏にしてみれば「愛情があったからこそ」。が、Aさんは「上下関係にもとづく威圧的言動」で恐怖を感じたのです。小美濃市長は「E氏の正義感」と簡単に判断してしまい、Aさんの苦痛に思いが至りませんでした。

後に、「一方的調査だったと言われればその通り」と反省の弁を述べており、「被害を受けた側(Aさん)との接触を拒否され、意見を聞くことができなかった」と事情を打ち明けていました。また、「今回の関係者複数の方から直接手紙をいただいた。が、言い分がそれぞれ違っていて、何が真実かわからない。今もわからない」と自らの判断を投げ出しているかのような答弁を繰り返しました。

私は、市長が少しでも真実に近づこうとする姿勢を持っていれば、方法はいくらでもあったと考えます。一旦教育長を任せようとした人物の言っていることが本当かうそか? 仮に私が市長の立場にあったら、必ず人任せにせず、自分なりの結論を出そうと努力するはずです。小美濃市長の取った行動は無責任と言わざるを得ません。

3.今後、どうするか

前の記事で述べた通り、執行部と議会の信頼関係をゆるがすことのないように、人事案件の取り扱いについて、執行部は新たな手法を検討すべきです。今回は、議決翌日に議会が知り、約1か月のやり取りを経て教育長が自ら身を引く、という形となり、「二元代表制の一翼を担う議会」が執行部のミスを正すことができました。次の教育長選びは既に始まっています。議会がどのように扱っていくか、議会の側も「良識の府」として責任を果たしていかなければなりません。

4.減額の程度が甘すぎた

今回、市長自ら「給料減額」を提案して議会が可決し、一連の不祥事の責任を取って決着としました。「給料の10分の1を減額、1か月」という内容でした。私は反対はしませんでしたが、この内容は甘すぎた、もっと厳しくすべきだったと考えます。

理由は、今回の不祥事は「職員のミスに対する監督責任」ではなく、「市長自らの認識の甘さと判断ミスであることが明らか」であり、過去の事例と明確に区別すべき。自らに厳しくある姿勢を内外に示す必要があったと考えるからです。

【参考】武蔵野市における、市長給料減額の過去の事例

① 1999年7月臨時会 土屋市長「10分の51か月」助役「10分の2、1か月」…元職員の横領事件。

② 2006年3月定例会 邑上市長「10分の1、1か月」…(土屋市長時代の)福祉公社の法人税未納。

③ 2006年5月臨時会 邑上市長「10分の1、1か月」助役「10分の2、1か月」…議員への不適切な情報提供。

④ 2007年3月定例会 邑上市長「10分の1、1か月」副市長「10分の1、1か月」…データ記録用磁気テープ紛失。

⑤ 2010年6月定例会 邑上市長「10分の1、1か月」副市長「10分の1、1か月」…市税滞納者台帳紛失。

⑥ 2010年12月定例会 邑上市長「10分の21か月」副市長「10分の2、1か月」…同上。同じことが続けて起こった。

職員のミスに対する市長の監督責任の取り方として、「10分の1、1か月」(およそ10万円に相当)をベースとしていることがわかります。国・東京都で定まったルールはなく、あくまでも市長自らが提案することが原則です。

まとめ

3回にわたって、「教育長辞任、市長給料減額」という事態を招いた経過と原因、議会の対処を説明しました。繰り返しになりますが、3月22日に第一報が入った時点で、人事議案を取り下げ保留にし、議会と情報共有の上、事実関係を情報収集。子どもたちへの影響とご本人の名誉を考慮して、議案にせずに次の教育長選びに進んでいれば、と悔やまれてなりません。E氏の名前が新聞記事に載ることもなかったはずです。

「かくしごとのない市政」をあんなに強く訴えていた小美濃市長が、就任3か月で「意図的に隠すつもりはなかった」と答弁さぜるを得なかった事態は非常に残念でしかたありません。「議会とよく相談しながら」と言っていた小美濃さん、すぐに落合議長に相談してほしかった。

ハラスメントへの認識の甘さと合わせ、市長の判断がゆるいと方々に影響が及ぶ。傷つかないですむ人たちをも巻き込んでしまう。尻ぬぐいにエネルギーを費やし、前に進むことができなくなる。そのことを肝に銘じていただきたいと思います。

議会の一員として、私自身も一層気持ちを引き締め、一つひとつの仕事に真摯に向き合い、市民の皆さんの信頼を裏切ることのないよう努力してまいります。