29年ぶりに議員報酬を引き上げました~その1賛成した理由

タイトルが「給与明細」、社員番号980064となっていますが、これは便宜上の表記です。市議会議員は、市役所に「雇われている」社員ではありません。「給与」でなく「報酬」です。

武蔵野市議会議員を含む、特別職の報酬・給与などを2025年4月から引き上げました。

特別職とは?

公職選挙法により、選挙で選ばれた「市長1名・市議会議員26名」、市長提案を議会が承認して選ばれる「副市長2名・教育長1名・監査委員2名」の合計31名(監査委員のうち1名は市議会議員から選ぶ)を指します。議長と副議長は、議会内のルールで選びます。

何%引き上げたのか?

特別職は、雇用される身分ではなく、勤務時間・出勤と有給休暇などはありません。が、「ほぼ常勤」である市長・副市長・教育長・監査委員・議長は「3%」。「常勤とまではいえない」副議長・議員は「2%」。の引き上げ率です。3%の数字は、一般公務員の給与引き上げ状況を参考にしました。

誰がどうやって決めるのか?

一般的な公務員の報酬・給与は、国の人事院勧告や東京都の人事委員会報告をもとにして、各自治体ごとに労使交渉で定めた額を、市長が条例案として議会に提案し、議決で決定します。が、特別職である市長や議員は、自分自身の報酬・給与を決める客観的基準がないまま、報酬議案を自ら判断する、という不思議な状況にあるのです。市民の皆さまから「お手盛りでしょう?」とお叱りを受けやすい。批判いただくことが多く、報酬・給与引き上げに関しては、有権者の皆さまへの説明責任を果たすために慎重さを求められるテーマとなっています。

武蔵野市では、「特別職報酬等審議会」を2年に1度開催し、社会情勢を踏まえた上で関係者にヒアリングを行い、引き上げの是非を判断し、市長提案につなげる制度を採用しています。

特別職等審議会のメンバー10人と今回の答申

◎ 髙橋 勇さん 武蔵野商工会議所会頭 〇 森 雄一さん 成蹊大学学長

井澤由紀子さん 武蔵野市コミュニティ研究連絡会  伊藤 惠子さん 武蔵野市人権擁護委員  坂井 健司さん 武蔵野市商店会連合会会長  土屋美惠子さん 前武蔵野市議会議長

富澤 里美さん 東京税理士会武蔵野支部支部長  中嶋 桂さん 武蔵野青年会議所理事長  中嶋 伸さん 武蔵野市医師会会長  吉川利之助さん 日本労働組合総連合会多摩東部第一地区協議会議長

令和6年度答申。 3回の審議会会議録

武蔵野・生活者ネットワークと西園寺みきこの判断

冒頭に、武蔵野市議会議員報酬の過去40年間の推移を示しました。武蔵野・生活者ネットワークは1995年古林わか子を議員として送り出して以来、引き上げには一貫して「据え置き」の立場を取って来ました。有権者からの厳しい声に応えるため、まちづくりに汗をかいて働く姿をみていただくことが最優先だと考えてきたからです。議会内でも同様に考える方が多く、1996年以来29年間据え置きが続いてきたのはグラフで示した通りです。

しかし、昨今の社会情勢の変化、特に物価高騰は議員活動にも大きな影響を与えていることを踏まえ、大きく2つの理由で引き上げに賛成する判断をしました。

引き上げに賛成した理由

1つは、物価高騰の厳しさを踏まえ、人件費全般の見直しを求めている、という点です。前述のように公務員は労使交渉により一定の引き上げが実現していますが、会計年度任用職員や審議会委員などの処遇は、長年据え置かれているものが多い。市役所職員の半数を超える存在であり、市政運営に欠かすことのできない存在である会計年度任用職員の処遇改善を強く求め、「人を大事にしなければいけない」と主張している者として、議員自らもその対象として改善するべき時機が来た、と考えました。

2つは、武蔵野市議会は非常によく働き、活発に議論をして活動している、と自負しているからです。3月本会議では立憲民主ネットの会派を代表して菅源太郎議員が賛成討論をしました。(下記参照)

議会基本条例の制定をリードし、市民意見交換会の開催をリードし、議会だよりリニューアルも20年ぶりに実現しました。昨年からは子ども議会(今年は中学生議会として継続)で子どもの意見表明の場を設けています。インターネット中継の拡充など、広報広聴の強化にも努めています。これらを総合した「議会改革」の取り組みに積極的にかかわり提案実現してきました。26人すべての議員が、猛烈に働いている、とまでは言えませんが、党派を超えて多くの議員さんたちと協力してきた結果、有権者の皆さんに恥ずかしくない議会活動をしてきている、と自信をもって申し上げることができます。

生活者ネットワークの議員活動と報酬

他の政党ではそれぞれのルールにのっとって、報酬の使い道を決めておられることと思います。地域政党生活者ネットワークは、「議員は市民の声を議会に届ける代理人の役割」との基本姿勢に基づき、議員報酬の約半分を、議員個人が政治団体武蔵野・生活者ネットワークに寄付する。という方法をとっています。次の「その2」記事をお読みください。

 

2025年3月13日(木)武蔵野市議会本会議における、会派「立憲民主ネット」の賛成討論要約。(6人を代表して、菅源太郎議員が発言しました)

● 会派を代表して、議案7~9号特別職報酬の引き上げ議案に賛成する。

● 理由は2つ。

① 議会の役割、議員の業務量が増大している。前回の引き上げ1996年(29年前)と2023年を比較すると、「議員1人あたりの人口が、4,300人→5,700人に増えた(人口増、議員定数減)」「議員1人あたりの一般会計予算額が、19億円→28億円に増えた」「議会の審議時間が増えた。具体的には4常任委員会の平均審議時間が、年58時間→120時間に倍増した」

② 国全体の物価上昇、人件費上昇が顕著である。

● もちろん議員報酬をあげて終わりではない。正規・非正規を問わず、物価上昇に見合う賃金の上昇が国民全体、市民全体で実現されなければならない。

● 昨年12月議会で、職員給与・手当の改定に賛成し、会計年度任用職員の報酬改善について市長提案を前倒しで実施すべきと修正案を出した会派として(本会議では多数決で修正は実現せず)、人件費の引き上げはまだまだ不十分と考えており、今後も引き続き処遇改善を求めていく。

● いわゆる人件費だけでなく、市民による有償ボランティアへの手当なども含め、市民生活全体をみて総合的な提案を行っていく。(注:有償ボランティアの一つ、コミュニティセンター窓口手当は今年4月から引き上げが実現しました)