選択的夫婦別姓、選択肢がほしいだけなのにいつになったら実現?

賛否の詳細は、チラシの通りです。2019年の時点で「賛成」していた方2人が「反対」に回ったことの理由は、私にはよくわかりませんでした。

4月26日(土)、選択的夫婦別姓制度を求める女性市議有志の呼びかけで、駅頭街宣を行いました。武蔵境駅南口にて。黄色い布は、ミモザカラーを意識して身に着けました。
武蔵野市議会は3月27日、「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」を14:11の賛成多数で可決しました。
3回目の議決
武蔵野市議会がこのテーマで議決を行ったのは、1999年以来3度目です。
1999年 6月 選択的夫婦別姓制度の早期実現に関する意見書 議員提出議案を賛成多数で可決。
2019年 3月 選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書 陳情を賛成多数で採択。
そして今回2025年 3月 選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書 議員提出議案を賛成多数で可決。
このテーマが法務大臣の諮問機関「法制審議会」で議論され、「現在においても社会の実情を踏まえた極めて妥当な内容だ」と指摘した答申を出したのは、なんと1996年29年前のことです。当時、多くのカップルが婚姻届を出さずに民法改正の実現を待ち望んだ、と言われています。
ところが、21世紀になっても令和になっても、「女性活躍」「グローバリズム」「世界に通用する人材」と声高に叫ぶ政治家はあまた登場したけれど、選択的夫婦別姓制度導入に積極的に取り組む政治リーダーは現れませんでした。
国連女性差別撤廃委員会は、2024年10月選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正を勧告しています。世界の中で「夫婦同姓」を義務付けている唯一の国が日本。同じアジアの中国韓国も義務付けていない。世界で活躍する日本人は、1996年に比べて男女問わず格段に増えている。
それなのに、「名前を名乗る」という「個人の人格、尊厳」にかかわる部分をなぜ国が制限するのか?? その不自然さに多くの人が気づいています。
戸籍制度との整合性?
3月27日本会議では、反対理由として「戸籍制度との整合性」を指摘した討論がありました。今回の意見書では戸籍制度への賛否は踏み込んでおりません。また1996年答申においても民法改正を指摘しつつも戸籍制度の変更には触れておらず、反対理由として的外れと感じます。
私は、日本の戸籍制度は「イエ制度」そのものであり、「個人を尊重する」現憲法の理念とは異なっていると感じています。さらにマイナンバー制度に象徴される国を挙げてのデジタル化は、まさに「個人単位」「一人一人が主権者として平等に存在する」ことを具現化したもの。「家族単位、集落単位で、民を管理するしかなかった時代」の終焉を意味していると捉えています。(マイナンバー制度そのものの課題はここでは触れません)
日頃は「デジタル化」「IT技術」を積極的に要望している方々が、「イエ制度」温存する判断をされることに驚きを感じます。なんのゆかりもない千代田区を任意で本籍地に選ぶこともできる現在の戸籍制度に、どれほどの意義があるのでしょうか。これこそ行政の無駄ではないかと私は考えています。(ただし今回の意見書は戸籍制度には踏み込んでおらず、あくまでも選択的夫婦別姓制度のための民法改正を求める内容です)
子どもを実験台にする?
別の反対理由に「子どもを実験台にしてほしくない」という発言がありました。私には意味がよくわかりませんでした。現在でも、保護者と子どもの氏が違っているご家庭は多数あります。事実婚、など事情はそれぞれですが、子どもが苦しい思いをするかどうか?は、選択的夫婦別姓制度とは全く関係ありません。家族の中でよく話し合って、それぞれの意思を尊重する価値観が家族観で共有されていればいい。氏が違っていることそのものが子どもを苦しめるわけではありません。よく話し合った上で同性を選ぶならそれはそれでかまわない。(面倒ではあるが)通称使用する選択肢も、現在可能になっている。
氏が同じで、両親が健在で、同居していて、経済的にも恵まれていて。はた目には何の苦労もないように見える家族の中であっても、子どもが地獄の苦しみを味わっているケースが多々あることを私は知っています。
もちろん、1996年の法制審議会答申当時は、「子ども基本法」がなく1989年国連「子どもの権利条約」の理念は普及していませんでした。子どもが自分自身の氏をどう選ぶのか。出生時に親が決めてしまっていいのか。何歳になったら選んでいいのか。などは議論が不足しているのが事実だと認めなければなりません。(ちなみに今でも家庭裁判所に申し立てることによって子どもが氏を選ぶことは可能であり、道が閉ざされているわけではありません)
武蔵野市では2023年「子どもの権利条例」を制定し、「子どもの意思表明」を明確に位置付けました。子どもの権利擁護センターで、保護者や学校の意向とは独立した場で、子ども自身の意思を聞き取る仕組みは実現しています。 今後、私たちがそれをどのように活用し、子どもの意思表明権を保障していくか?は、まだまだ課題山積みです。
国政政党は政局にしないでほしい
昨年の総選挙で与野党構成が変わり、「今度こそ、選択的夫婦別姓制度実現を!」と多くの方が期待しています。が、最新情勢を伺うと、野党側の改正案が一本化できず、今回も法改正に至らない見込みとのこと。なぜ一本化できないのか? 国民のためにまとまれないのか? 参議院選挙前のこの時期、「自分の政党が埋没しないように」独自性を出そうとすることは、政治家としてはアリなのかもしれません。しかし、そのせいでまた待たされる。政治に失望を感じてしまう有権者が多いことを忘れないでほしいと思います。