ふだん飲んでいる水は? PFAS武蔵野市民血液検査 その3

今年7月に武蔵野市民47人の協力を得て、PFAS血液検査を実施しました。その際、「ふだん飲んでいる水」の提供をお願いし、21検体が集まりました。
4PFAS、最小「検出せず」 最大「29.6ng/㍑」
国内での暫定目標値は、PFOA+PFOSが50ng/㍑、PFHxS目標値なし。(つまり4PFAS合算値には何の目安もない) 今回の21検体すべてが、暫定目標値に迫るものではなかった、ということは確認できました。(もし数値が高い検体が出てきたら、水道事業以外の汚染源を疑わなければいけないことになります。あっては困ります)
浄水器は、効果がある
グラフの左側4検体は、「ふだん飲んでいる水=浄水器を使った沪過済みの水」を検体として持参されたものです。もっとも値が低かったのは「検出せず」。高性能の浄水器を使っておられるのか?とお聞きしたところ、普通に量販店で買ってきた浄水器です、とのお答えでした。4検体すべて「5ng/㍑以下」となっており、浄水器の利用は、効果があると考えてよさそうです。
水道水そのまま、の検体には幅があった
グラフの右側17検体は、水道水をそのまま持参されたものです。(うち1個は市役所本庁舎から)
14.3ng/㍑から29.6ng/㍑まで幅がありました。理由は不明です。武蔵野市の水道水は、第一浄水場(吉祥寺北町にある)からと第二浄水場(桜堤にある)からの2系統ありますが、大きな水質の差はないはず。
市が公表しているPFOA+PFOSの値と比較すると
市は、国の指示にしたがい、PFOA+PFOS合算値とPFHxS値を公表しています。
水道水における有機フッ素化合物への対応について|武蔵野市公式ホームページ
|
採水日 |
第一給水区 (吉祥寺東町4-18) |
第二給水区 (八幡町4-17) |
暫定目標値 |
|---|---|---|---|
|
令和7年 5月19日 |
12ng/L |
12ng/L |
50ng/L以下 |
|
令和7年 8月4日 |
12ng/L |
14ng/L |
50ng/L以下 |
|
令和7年 11月4日 |
11ng/L |
13ng/L |
50ng/L以下 |
|
採水日 |
第一給水区 (吉祥寺東町4-18) |
第二給水区 (八幡町4-17) |
暫定目標値 |
|---|---|---|---|
|
令和7年 5月7日 |
6ng/L |
11ng/L |
なし |
|
令和7年 8月4日 |
6ng/L |
11ng/L |
なし |
|
令和7年 11月4日 |
6ng/L |
10ng/L |
なし |
上記グラフには8月の値を黒丸で示しました。
比較のために、今回の21検体の「PFOA+PFOS」値とPFHxS値を、青丸と黄緑丸で入れてあります。
これをみると、市公表の値より、今回の21検体の方が、低めに出ていることがわかります。検体の採取方法、測定手順などの差があるのかどうか含め、分析はむずかしいです。
検査のまとめ
【2】ふだん飲んでいる水、水道水PFAS濃度調査まとめ
- 検査対象
市民有志が持参されたふだん飲んでいる水21検体。
第一浄水場エリア4検体。 第二浄水場エリア17検体。(うち1検体は市役所本庁舎)
21検体のうち、浄水器使用の検体は4検体。それ以外の17検体は水道水そのまま。
- 検査結果
グラフ④参照。
- 4PFAS合計値、浄水器使用の有無
グラフは、4PFAS合計値を低い順に並べている。グラフでわかるように「浄水器使用」4検体はすべて、使用なしより低かった。「検出せず」もあった。
浄水器使用4検体…4PFAS合計値は、検出せず~6.0ng/㍑。
使用なし17検体…平均20.62ng/㍑。最大29.6。最小14.3。
- PFOS+PFOA、浄水器使用の有無
浄水器使用4検体…検出せず~3.8ng/㍑。
使用なし17検体…平均9.21ng/㍑。最大12.6。最小6.3。
- PFHxS、浄水器使用の有無
浄水器使用4検体…検出せず~2.2ng/㍑。
使用なし17検体…平均9.75ng/㍑。最大16.3。最小5.4。
- PFNA、浄水器使用の有無
浄水器使用4検体…すべて検出せず。
使用なし17検体…平均1.66ng/㍑。最大2.6。最小0.9。
(5)記4項目以外の、PFDeA、PFUnDeA、N-MeFOSAAの3項目
21検体すべてで検出せず。
- 考察とまとめ
- 国の暫定目標値PFOS+PFOAで50ng/㍑に迫る検体はなかった。(あっては困る)
しかし、武蔵野市の水源井戸27本中、2本でこの春50ng/㍑超えがあって採水を中止している。井戸によって「検出せず」もある一方、30ng/㍑も複数出ている現状を考慮すると、今後の動向を注視し、浄化対策を引き続き求める必要がある。
(2) 浄水器使用4検体すべてでPFNA検出せずとなっており、4検体中1検体は、測定した7項目すべて検出せず、となっていた。浄水器の効果は明白である。浄水器の性能や使用状況の情報を含めた考察が必要である。
(3) すべての検体でPFOSがPFOAを上回った。泡消火剤が汚染源である可能性を示唆している。
(4) 第一・第二浄水場エリア比較は、サンプル数が少なく比較が難しい。
(5) 市公表の値との比較
グラフ④に、今回の21検体に加えて、2025年8月採水の市公表の値を併記した。市は「PFOS+PFOA合計値」「PFHxS」2項目を公表しており、「PFNA」を公表していない。したがって「4PFAS合計値」は併記していない。
市公表の値は、PFOS+PFOA合計値で、12、14ng/㍑。PFHxSで、6、11ng/㍑。
測定方法の詳細が異なる可能性があり、考察は難しいが、今回の調査の数値全体が低めに出
ている可能性がある。

