米国はPFASを4ng/㍑に厳格化 武蔵野市はアウト? 汚染源は?

武蔵野市の水道水は、27本の深井戸(200~250m深さ)からくみ上げた地下水約7割と、東京都水道局から買った河川水約3割をブレンドして提供しています。

PFAS汚染についていえば、河川水は継続的に「PFAS検出せず」が続いていますので、武蔵野市の地下水が汚染傾向にあっても、東京都から買う河川水で「薄める」ことによって、10~14ng/レベルで抑えられている、ということです。しかし、それでいいのでしょうか?

 

井戸ごと検査の結果は? 今年春、ついに50ng/㍑超過が出て2本のくみ上げを停止しています

地下水はおいしい。と市民の皆さんに愛されてきた武蔵野市の水道ですが、大変残念なことに、地下水へのPFAS汚染は確実に進んでいます。浄水場ごとの検査とは別に、2020年1月以降、井戸ごと検査を行い、武蔵野市の地下でPFAS汚染がどこまで進んでいるか、経時的に検査してきたところ、今年ついに第1水源と第14水源、2本の井戸のくみ上げを停止する事態となりました。水源井戸ごと検査の結果。idoR6-2.pdf

 

50ng/㍑に至っていないから安心とはいえない

わが国の暫定目標値は、PFOA+PFOS合算50ng/㍑のみ。2026年4月から、ようやく「水質基準項目=検査義務化」が実現するとは言え、米国環境保護庁(EPA)が2024年4月、飲料水中のPFOSとPFOAの基準値をそれぞれ4ng/Lという厳格な値に設定したことと比べると、12倍も「緩い」。言い方を変えると、武蔵野市の水源のほとんどが、米国基準では「飲めない」水、となるのです。(27本中、4ng/㍑以下は8本のみとなってしまう)

 

多摩地域の他自治体の水道水も、5ng/㍑以下に改善されている

東京都水道局の管理下にある多摩地域の多くの水源井戸は、PFAS高濃度が出ると早々にくみ上げ停止し、河川水の割合を増やしているため、実際に市民が飲んでいる水は、5ng/㍑以下に抑えられているといいます。

 

武蔵野市だけが10ng/㍑台の水を飲み続けていいのか?

PFASは分解が遅く、体内に蓄積が続く特性があります。今のまま何も知らずに飲み続けていいのか? 20年後30年後、武蔵野の水道水を飲み続けた市民だけが、PFASによる健康被害に苦しむ…想像したくはありませんが、このまま放置したら、あり得るのではないでしょうか?

 

水質基準項目への格上げで、市には改善措置の義務が発生する

2026年4月から、PFAS検査義務が新たに格上げされるだけでなく、原因特定・改善措置の義務が発生するとされています。今は、「高濃度が判明→くみ上げ停止。河川水で薄める」という対応を取っていますが、今後は水道事業者としての責務を果たすため、検査と対応の手順書などを整備する必要があるのではないでしょうか。

  • 3か月ごとの定期水質検査の実施(検出濃度が低い場合は頻度緩和可能)
  • 基準超過時には原因特定と改善措置の義務発生
  • 検査結果の行政機関への報告義務
  • 改善が見られない場合は国からの改善指示、最終的には給水停止命令や罰則の可能性

 

汚染源は、泡消火剤と思われます

全国で、米軍基地・自衛隊基地が汚染源とみられる「泡消火剤」由来の汚染。あるいは産業廃棄物の無責任な放置や半導体工場の排水由来の汚染。などさまざまなケースが明らかになってきました。当初から指摘されていたことですが、PFOAは、テフロン加工などの化学的用途に。PFOSははっ水材や消火剤などに。と用途が分かれていました。

今回、「ふだん飲んでいる水21検体」すべてでPFOSがPFOAを上回っていました。また、47人血液検査でも39人(82%)の方で、PFOSがPFOAを上回っていました。

これからのことから、武蔵野市の水道水の汚染は「泡消火剤に由来する」という仮説が成り立ちます。泡消火剤を大量に無責任に排出していた米軍横田基地が汚染源として疑われるのは当然であると考えます。