水は命を守るとりでその4~東京都水道のゆくえを注視

武蔵野市水道事業年報2018年版より。平成に入って節水が進み、人口減もあって、給水量が減っていることがわかります。国全体で言うと、ピークだった2000年に、3,900万㎥/日。2014年に、3,600万㎥/日に減少
。 2060年には、2,200万㎥/日まで減る。と厚生労働省水道課(2017年)が推計しています。

 

東京は日本版水メジャーを目指す?

東京都の水道事業は、配管網の耐震整備率が高く、漏水率が低く、国内でダントツ1位。人口密度が高く、市民の目が厳しく、インフラ整備への要求がどこよりも高かったわけですから、自然な結果です。

東京の水道事業を担っているのは、都51%出資の監理団体㈱東京水道サービスと、84.5%出資の㈱PUC。この2つの2019年度中統合を見据え、5月に社長となったのが、野田数氏です。野田氏は市議・都議を経て、2016年小池百合子都知事の特別秘書に就任。その後都民ファーストの会代表を務めました。

9月産経新聞インタビューに「日本版水メジャーを目指す」「多摩地区の都営水道一元化による広域化のノウハウがあるので、国内の水道事業体に積極的に協力していきたい」「(海外展開を問われ)海外事業に豊富な経験を持つ水道関連企業と、情報の共有を行いながら途上国以外も検討していきたい」と答えました。東京都の水道事業に、外国の水メジャーが参入する、ではなく逆に、高品質の東京の水道事業を途上国に持って行って稼ごうとする。方向性が見えてきました。

11月、NPOまちぽっと(注10)主催のセミナーで、東京都水道局総務部経営改革推進担当課長は「自分たちにはその実力はない。野田氏がなぜあのような発言をしたのか、現場は当惑している」と発言しましたが、今後も注意深く見ていかなければなりません。

 

水の自治を進めよう

2010年、国連総会は安全な飲料水へのアクセスを人権の一つとする(The Human Right to Water)原則を承認しました。SDGs(持続可能な開発目標)17目標の6番目にも「安全な水とトイレを世界中に~すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」が掲げられています。

私たちが水のありようを知り、「水の自治」を進めること。自分の飲んでいる水がどこから来てどこに行くのか? 配管網の整備はどこまで進んでいるのか? 災害時に使える井戸はどうなっているのか? 怠りなくチェックを続け行動していくべきです。

(おまけ:地下水にも既にマイクロプラスチックが検出されていると聞き、どうしたものかなあと腕組みしてしまいます…)

注10…NPOまちぽっとは、市民社会の形成を目指すシンクタンク。http://machi-pot.org/

10月19日(土)杉並区「GRAIN」で開催されたトークライブにお招きいただきました。
左から、メイン発言者の内田聖子さん(PARC共同代表)、中川崇さん(都労連書記次長)、ゲストスピーカーの西園寺、野村羊子さん(三鷹市議)。

西園寺みきこは、生活クラブ運動グループ創の主催で、今年「水は命を守るとりで」をテーマとした3回連続学習会を開催しました。その報告を4回に分けて投稿しました。

なお、この記事は、「ごみ・環境ビジョン21」の機関紙「ごみっと・SUN」から執筆依頼を受けて書き起こした原稿(11月発行のVol16に掲載される予定)を手直ししていることを申し添えます。