多摩の地下水から高濃度有害物質 武蔵野の水は? 横田基地が汚染源か?

2019年に武蔵野市が検査した「要検討項目 47種」の検査結果一覧。41番と42番が、該当の物質名です。

多摩地域の地下水から、有害物質が検出。

朝日デジタル1月6日記事。「横田基地近くの井戸から有害物質 米の飲用水基準19倍」

1月8日記事。「東京・多摩の水道で高濃度有害物質 井戸のくみ上げ停止」

有害物質は、フッ素化合物のPFOSとPFOA。

PFOS:ペルフルオロオクタンスルホン酸(パーフルオロ と表記することも) WIKIPEDIA記事。

PFOA:ペルフルオロオクタン酸 WIKIPEDIA記事。

この2つのフッ素化合物は、界面活性剤として使われており、米軍横田基地で泡消火剤として使用していたことが明らかになっています。自然界ではほぼ分解されない「フォーエバー・ケミカル」として知られている物質です。

 

東京都水道局HPに、検査結果を公表。今回の測定値の他に、各国の基準値も掲載されています。(1月10日追加で記載)

 

最大で1,340ng/ℓ検出。現在は基準がない。

上記記事によれば、昨年1月、立川市の井戸で2物質合計最大1,340ナノグラム/㍑を検出した。(ナノnanoは、10億分の1。ミリが1000分の1。マイクロが100万分の1)とのこと。現在国内ではPFOS・PFOAに関する基準はありませんが、アメリカが2016年に設定した飲料水の基準が、70ng/ℓですから、1,340ng/ℓはその19倍となります。

東京都は、アメリカの基準の半分の35ng/ℓを方針として検査を実施。国はPFOSに関しては2010年に製造と使用を禁止。(既に販売済みのものは可) PFOAに関して今春に規制する方向、と報道されています。

発がん、内分泌かく乱などとの関係が指摘されており、2005年には既に「残留性有機汚染物質のリスト」の対象となり、日本では2008年に「PRTR法施行令改正でPRTR法第一種指定化学物質に指定」。「2009年度以降の排出移動量の届出が義務付けられた」という経過があります。

 

武蔵野市の地下水は汚染されていないのか?

報道を見て、ただちに武蔵野市水道部に問合せました。武蔵野市は、水質検査の「要検討項目 47種」のうちの2つ、の位置づけで、少なくとも2014年から年1回、PFOSとPFOAの検査を行っています。

 武蔵野市の水質検査一覧。

冒頭に掲載した画像が、その「要検討項目 47種」の検査結果、直近2019年のリストです。

該当のPFOS、PFOAとも、0.000001mg/ℓ。すなわち0.001ng/ℓ。であり、アメリカの基準70ng/ℓとは、3桁以上の差があって、「検出せず」と言ってかまわないレベルであることがわかります。

要検討項目、とは義務付けされていない検査項目のこと。報道によれば全国でPFOSとPFOAを自主的に検査しているのは、数%の浄水場に留まっているとのことです。

いくつもの疑問点が湧いてくる

・横田基地が汚染源か?

報道によれば、東京都は「地下水の水脈は複雑なのでわからない」と。しかし、他に汚染源があるならともかく、(化学工場などの有無)横田基地で過去に使用していたことは間違いないので、その使用状況や量をはっきりと開示すべき。させるべきです。米軍基地が汚染源であるのかないのか、はっきりさせられないなんて、国民の健康を守る権利(憲法25条の生存権)に反します。

・既にグレーな存在であることはわかっていた

今回調べてみて、2物質は既にグレーな存在として認識されていたことがはっきりわかりました。「国内で規制が始まった2010年度にも1,130ng/ℓ検出されていた」とあり、今まで報道が抑えられてきたのか?と疑いたくなります。

・検出された井戸の水を、市民は既に飲んでしまったのか?

これも報道によれば、「1,340ng/ℓを記録した井戸は、現在飲んでいない」。しかし「2010年度に飲んでいたかわからない」というあいまいな都の回答。今回、都は国分寺・府中・国立の3浄水場のくみ上げを停止しましたが、対象となっていた数万世帯が、「飲んでしまっていた」と言えます。直ちに健康に影響が出るとは言えませんが、過去どのぐらいの量を「飲んでしまっていたのか?」 明らかにして公表すべきです。

・多摩地域だけではない

米軍基地のある沖縄県でも、同様に泡消火剤の漏出が汚染源と考えられる地下水汚染が指摘されています。米軍基地以外でも、1950年代から、防水加工、工業材料、洗浄剤として大量に使われ、河川水で検出されてきた歴史があります。北極のアザラシからも検出されている、というのですから、多摩地域だけでない、地球規模の問題であることがわかります。

武蔵野市は検査結果がすぐわかる

都内で、独自に水道事業を継続しているのは、昭島市・羽村市と武蔵野市の3市のみ。他自治体は都営水道に一元化しており、浄水場はもちろん、水源となる井戸の管理も水質検査結果も、すべて都の管理下にあって、基礎自治体である市から離れてしまっています。

今回のようなケースで、市の担当者に問い合わせて、その場ですぐに状況の確認ができる。ということは当たり前のように思えますが、都営一元化が実現した後には、市に「水道の担当者がいなくなる」とされており、市を通じて東京都に問い合わせてもらい、回答を待つ。しかできない。と考えられます。

 武蔵野市は2008年に「都営水道一元化を目指す」として、困難な交渉の真っただ中にいます。水道事業の広域化は必要、とは言え、今回のような事態への対処に懸念が残ります。

 仮に汚染源が横田基地のみだった場合、時間経過とともに、東に流れてきて、武蔵野市の井戸で検出、という事態も考えられなくはありません。(武蔵野市の地下水は、約250mの深井戸から採取)今後も注意深く見ていかなければなりません。