生活者ネットは多様性と支え合い、共生のまちを目指します~住民投票条例案11対14で否決その1~

12月18日(土)三鷹駅北口で、住民投票条例案の目指す多様性のまちづくりを訴えました。

 12月21日武蔵野市議会本会議において「武蔵野市住民投票条例案」が11対14で否決されました。13日の総務委員会では4対3で可決していましたが、本会議当日ぎりぎりまで賛否を明らかにしなかった無所属議員が反対に回り、逆転否決となりました。

賛成11人・・・立憲民主ネット5人(深沢 川名 蔵野 藪原 西園寺)共産党2人(本間 橋本)自治と共生2人(内山 山本あつし)山本ひとみ 桜井

反対14人・・・自由民主市民クラブ7人(小美濃 与座 菊地 木﨑 東 道場 小林)公明党3人(落合 浜田 大野)ワクワクはたらく2人(宮代 本多)下田 品川(都民ファースト) (土屋議長は採決に加わらない)

12月議会上程の議案が報道されるまでに、反対はなかった。

この条例案は、昨年3月全会一致可決した「自治基本条例」19条に「常設型の住民投票制度を作る」と定め、その要件は別に条例を作る。2年以内(2023年3月まで)に条例制定を目指す。としたことを踏まえたものです。

今回注目された「外国人居住要件3か月」など重要なポイントは、今年2月「骨子案」ですべて示されていました。内容は議会総務委員会で報告された他、パブコメが実施され、大きな反対意見はありませんでした。

その後、2,000人市民を対象にした無作為抽出アンケートが実施され(生活者ネットワークが幅広い市民の意見を反映するためのツールとして要望して実現定着している手法のひとつ。武蔵野市ではさまざまな基本計画や条例策定にあたって無作為抽出アンケートをセットで行うことが定番となっている)、総務省基準において有効とされる500名強の回答を得て、概ね市の提案に賛同があったと判断したことが8月総務委員会で行政報告されていました。

市長選直前であった8月総務委員会では同時に、「条例素案」も報告・公表、パブコメを実施し、通常の条例づくり以上に丁寧に進め、反対運動がないことを確認した上での12月議会上程でありました。

10月市長選において、松下玲子市長の公約に「常設型の住民投票制度を設けます」と掲げたのに対し、対立候補側は一切争点化せず、公約で触れることもなく、スルーしたとしか思えません。

11月13日から猛烈な抗議活動が始まった。

ところが、11月13日に議案上程が新聞報道された途端、全国から抗議の電話・メール等が市役所、議会事務局、議員のもとに殺到。街宣車が庁舎周辺や駅頭で聞くに堪えない抗議を行い、大きな混乱となりました。市役所が受け取った件数は、11月15日(月)70件をピークに12月17日(金)正午までの約1か月間で、661件。(うち賛成が3件、その他はすべて反対) 議会事務局は「業務妨害と言っても差し支えない状況」と、議会運営委員会で報告しています。

西園寺と武蔵野・生活者ネットワーク事務所にも、郵送とFAX27件、メール77件、電話4件、合計108件が。(うち賛成が10件、他はすべて反対。住所氏名連絡先などを明記したものは25件。一方的な抗議です。武蔵野市民と確認できる住所があったのは9件のみ。1人で複数のメールを送ってきた方やメールとFAX両方の方が9人いました)

西園寺は個人メールアドレスを公開していますが自宅は公開せず、電話FAX手紙は事務所宛としているため、西園寺の日常生活が脅かされることはほぼありませんでした。が、事務所を持たない市議の中には、プライバシーの侵害や家族への影響があったと聞いています。そのことが議員としての判断に影響しなかったか? 「中立」と言いながら反対派からの集中攻撃に耐えられなかったのではないか? 圧力に負けたと言えないか?  結果として誰に加担したのかわかっていないのではないか? 議員としての強い信念とリスク管理が必須です。

「賛成してますからチラシは要りません」と会釈して下さる方。「気になってたの」とばかりチラシを受け取ってじっと読んでいる方。そして「反対だから」と一言つぶやいて歩み去る方。たくさんの市民の方の思いを感じ取った駅頭活動でした。

国会議員が荒唐無稽なデマをSNS発信、大手新聞がそれを取り上げた。

「外国人に乗っ取られる」「憲法違反の恐れ」など荒唐無稽なデマを、地元選出国会議員や自民党有力議員がSNS発信、大手新聞がそれを取り上げ、ネット上を駆け巡ったことで、一気に市民の不安が広がりました。反対派によるチラシも市内全域にまかれ、街頭での署名活動が始まりました。それまで争点化せず、明確な反対論を組み立てることもせず、市長選でスルーしていた自民系市議らが、急に反対運動の勢いに乗っかって、自治法務上の裏付けを取らずに、選挙カーを駅頭に出し、不安を煽る活動を始めてしまった。地元選出(比例復活)現職国会議員、元武蔵野市長(元衆議院議員)、そして自民党市議会議員がうち揃って駅頭に立ち、ゲスト代議士を交えて「憲法違反の恐れがある」「外国人参政権につながる」と繰り返し述べていたことは、紛れもない事実です。

本当の狙いは何だったんだろう?

既に述べたように、武蔵野市議全員が、今回の条例案の内容を2月から知っていました。(知らなかったというのであれば、市議会議員としての責務を果たしていない。さぼっていたことを自ら認めているとしか言いようがありません。10月補選で新たに議員となった2人だって調べればわかること) 急に反対運動に乗り、ちゃぶ台返しに回ったことに、憤りを抑えることができません。今年武蔵野市で3つ続いた選挙(7/3都議選、10/3市長選、10/31衆議院議員選挙)において、自民系候補が3連敗したことと無関係とは思えないのです。「女性市長、生意気だ。いじめてやれ」という暗黙の意図が感じられたことを、指摘しないわけにはいきません。条例案が目指す本来の趣旨、多様性を認め合うまちづくり、とは全く次元の違う状況に陥ったことは残念でなりません。

→ その2につづく。